「奇蹟の芸術都市バルセロナ展」東京ステーションギャラリー 音声ガイド

『奇蹟の芸術都市バルセロナ展』


昨年より全国を巡回してきましたこの展覧会は現在、東京に巡回しています。
場所は東京ステーションギャラリー。私の大好きな美術館の1つです。昔の東京駅の雰囲気が壁などに残っていて、とても雰囲気のある展示室です。





そして・・・


この展覧会の音声ガイドを担当させていただいています。



大好きな美術のお仕事をさせていただき、本当に嬉しいです。ありがとうございます。

私も早速東京ステーションギャラリーさんに行ってまいりました。
音声ガイドは有料でガイド機をレンタルしてお聴きいただくものですが、ご観覧の際には音声ガイド機も併せてご利用いただければ嬉しいです。
私自身も様々な展覧会で音声ガイドを聴くことが多いのですが、音声ガイドの在り方というのは様々なご意見がございます。ある一定の解釈を聴いてしまうから自由な鑑賞が妨げられるというご意見があったり、逆に解説の文字を読むのが疲れてしまうから耳で聴きながら目は作品を見る方が鑑賞しやすいというご意見があったり。
美術鑑賞が趣味な私としましては、どちらのご意見も一理あると感じます。
そこで、私なりに編み出した程よい音声ガイドの利用法というのがあるので今日はここに書いてみます。


まず、大抵の音声ガイドは導入のチャプターがあります。「本日は〇〇展にお越し下さいまして誠にありがとうございます。本展では、」うんぬんかんぬん、みたいな、展覧会概要をお伝えするチャプターです。
ここはガイド機を借りたすぐにポチっと番号を押して聴いていただき、
コツはそのあとです。


音声ガイドは作品の横に掲示された音声ガイド番号と連動しています。この番号をガイド機に入力して再生ボタンをおせば、その作品についての話が聴けるというものです。
ここでつい、この番号を見るや否や、再生ボタンを押してしまうんです。もうそれはスタンプラリーかのごとく。でも、ちょっとここで一息我慢。まずは作品を自分なりの目線で見ます。立体作品ならぐるりと周りを歩きながら、平面作品なら近づいたり離れたりしながら見てみます。そのあとでいよいよポチっと再生です。
この方法だとひとつの作品の鑑賞滞在時間はやや長くなるかもしれませんが、自分自身の個人的な作品との出会いの印象を大切にすることが出来ます。


美術の楽しみ方は人それぞれであり、だからこそ面白いと私は思います。
数年前に観た時にはそれほど心惹かれなかったはずの作品に再会したら、
とても強い印象をもたらされた、そんなこともあります。
作品と鑑賞者の関係は、常に極めて個人的な心のやりとりでもあるのです。
しかし誰かとその作品について話す時に、それまで蓄積した個人的な心の熟成がさらに枝葉を広げていくようにも思います。
音声ガイドは、そんな枝葉を広げるための、ひとつの手段なのかもしれません。
美術との向き合い方の幅が多角的に広がりますように。
皆さまの美術鑑賞がより充実したものとなり、作品を観ることがさらに好きになって行きますようにと願いながら、毎回音声ガイドを務めさせていただいております。
私自身が毎回、生身でたくさんの方々と一緒に美術についてお話ししながら鑑賞できるならばそれも楽しそうなのになあとは思うものの、なにぶん分身の術も使えませんもので、ガイド機の力を借りましてなんちゃって分身術です。







さて今回の展覧会の内容ですが、本当に素晴らしい作品が揃いました。
バルセロナを中心に活躍した作家たちは、数々の名作を残しているにもかかわらず、
日本で紹介させる機会が少ないように感じます。それらの作品がこうしてまとまった形で紹介されるということ自体が、本当に滅多にないチャンスです。
スペイン、バルセロナといえば、ミロ、ダリ、ピカソ、ガウディなどの名前は挙がってくるかもしれませんが、それ以外の作家さんの名前はあまり日本語では聞かないですよね。
この素晴らしい展覧会のチャンスで、ぜひ皆さまの新しいお気に入り作家を発見していただきたいと思います。今はインターネットの時代。気になる作家さんが見つかったら、日本に居ながらにしてすぐに画像検索も出来る時代です。この展覧会をきっかけに、バルセロナやそこで活躍した多くの作家さんたち、歴史、時代背景など、多くの方にご興味を持っていただけたら幸いです。


どれも素晴らしい作品ばかりですが、ちなみにということで


私のお気に入りは 



立体作品だと


ジュゼップ・リモーナ(Josep Limona) の

《初聖体拝領》”First Communion”


アウゼビ・アルナウ(Eusebi Arnau) の

《バルセロナ》”Bust of a Noblewoman Representing Barcelona”




平面作品は


イジドラ・ヌネイ(Isidre Nonell) の

《ジプシー女の横顔》”Profile of a Gypsy Woman”

《若いジプシー女》”Young Gypsy Woman”


サンティアゴ・ルシニョル(Santiago Rusiñol) の

《ムーラン・ド・ラ・ギャレットでのミケル・ウトリリョ》”Portrait of Miquel Utrillo”


ということで
5作品だけ挙げてみました。でも本当はあれもこれも好きなんです。ラモン・カザスもリカル・カナルスもリュイス・マスリエラも素晴らしい作品を残しているし、
「四匹の猫」というアーティストたちが集まって実験的な面白いことが繰り広げられていた場所についてや、ピカソやダリなど日本でも名の知れた作家たちとの関係なども面白い。


そしてやはり実物を目の前にしなければ感じ取れない魅力が溢れています。
これはどの展示でもそうなのですが。
特にイジドラ・ヌネイの深みのある強さは実物を観ることができて本当に良かったと、つくづく思いました。いつかバルセロナに行くチャンスができたらヌネイの他の作品もたくさん観てみたいなあ。


というわけで相変わらず長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき
ありがとうございました。
展覧会は展示会場内の撮影が禁止なので、今回写真での紹介が少ないのですが、
入り口はこんな感じ。



東京駅の丸の内北口ドーム内にありますよ。JRの東京駅 丸の内北口の改札を出てすぐです。
詳しい会場と展覧会の内容については公式サイトをご覧ください。



東京ステーションギャラリー - TOKYO STATION GALLERY -






美術館での展覧会でのもうひとつのお楽しみはやっぱりミュージアムショップ。今回もオリジナルグッズが満載ですよ。私もいろいろ買ってしまいました。
展覧会をイメージした限定オリジナルキャンドル。Jun Yonezawa さんによるJun’s Light (http://junslight-waxart.jp/ )というブランドから出ているもので2種類。
どっちも買っちゃった。
見た目がかわいいだけではなく、火を灯しても最後まで炎の大きさが小さくならない実用的でもあるキャンドルでした。香りもロマンティック。お風呂で使ったらリラックスしました。




最新ブログ

感謝の気持ち
目に見える変化と見えない変化
紙コップを考える
プラスチックフリーを意識した暮らし