クリスチャン・ボルタンスキー

クリスチャン・ボルタンスキーの作品を目の当たりにするのは今回で2回目。

1回目は東京都庭園美術館でのボルタンスキーの個展にて。

そして2回目の今回は越後妻有アートトリエンナーレ2018での
《最後の教室》と《影の劇場》

《最後の教室》は2006年に照明アーティストのジャン・カルマンと共同で作られたボルタンスキーの作品で、今年も公開されていました。

そして《影の劇場》は2018年の新作です。

これまでにも
「不在」
をテーマとして数多くの作品を発表してきたボルタンスキー。


旧東川小学校の校舎を使ったインスタレーションで、
《最後の教室》では、まずは元体育館だった場所から作品が始まります。










暗い中、目が慣れてくるまで立ち止まっていると、
敷き詰められた枯れ草の香りと、たくさんの扇風機、
その扇風機が起こす様々な方向の風と、扇風機の動く音、
風に揺られる吊り下げられた灯りに
一つ一つ、意識が向いていきます。

作品の中にいるときに草を踏みしめるという、
足の裏から伝わってくる違和感。
草の強い香り。

闇と香りと風で
一瞬にしてクリスチャン・ボルタンスキーの世界に
やや力付くで突入させられる、作品の導入。

体育館に入った瞬間にいろんな情報処理が追いつかず、少しの混乱をもたらすような強さもあり、
作品全体を見終えてから改めて思い起こすと、
うまいなあ、と反芻させられる入り口でした。

そこから恐る恐る奥へ、そして上の階へと進んで行きます。






ボルタンスキーの作品の多くに見られる、作品そのものの発光する光のみでの展示の見せ方。
この作品では光が、かつてそこに居た生命の存在を思い起こさせます。









何かの墓、棺のようにも見えるケース。

過去へと過ぎ去った時間を、「死」として扱うボルタンスキーの考え方を理解した上で作品を見ていくと、決して「お化け屋敷」「学校の怪談」のような作品なわけではなく、
全ての人の過ぎ去った子供時代はすでに死んでいる(その時間とかつて子供だった自分自身)、生きていることは常に死に続けることだというような時の流れを、
明確に視覚化しているのだとわかります。

この学校にかつて居た人は今も生きているかもしれないし生きていないかもしれない。
けれどこの作品をみるとあたかも、全ての人が既に子供のままで亡くなったのかという連想もしてしまいそうでもあります。
でも、そうではない。
重要なのは、過去の時間が既に死んだ時間であるということ。

ボルタンスキーのアート全体に共通するこのことを考えながら見ていくと、目には見えないはずの時間というものの可視化が伝わってきて、
突如全く違う感想を持ち始めます。

彼の作品を体験できるのは、鑑賞者がいま生きていてその場にいるからこそなのですが、
目の前の作品に現れた生と死を意識するとともに、改めて自分自身の時間についても考えさせられるのです。

生きているものはいつか必ず亡くなる時が来る。
それを誰しも理解しているはずなのに、生きている瞬間に忘れている時も多く、直視する恐怖感から見て見ぬ振りをしているのかもしれません。
そこを剥き出しに突きつけてくるボルタンスキー作品。

何度も見て、何度も考えてみたくなる作家の作品です。



新作の
《影の劇場》は少しコミカルな感じ。




ボルタンスキーの影を使った作品は数多くあり、もっと繊細な雰囲気の作品をこれまで見てきたので、ややポップな印象を受けるこちらの新作は、少し意外でもありました。東京都庭園美術館でみた影の作品とは少し雰囲気がちがうかな。

ボルタンスキーが日本で初めて個展をした時の冊子も(別の場所で)手に入ったので読んでみました。





子供時代と死の時間、古着を使うことについてなど、
様々な作品を見ていくヒントがたくさん書かれていて、さらにボルタンスキーについての他の本も読んでみたくなりました。が、ボルタンスキーについては読めば読むほど分からなくなるのかもしれないです。
彼が彼について創作で様々なことを語り、語れば語るほど、作品を出せば出すほど、それによって本物のボルタンスキーはどんどん雲隠れしていく、そういう作家のようです。
うーん、ミステリアス。
それも込みで楽しめる作品と作家であるとも思えますね。



I saw the installation by Christian Boltanski at vacant old school.
Christian Boltanski send us some messages about
the life, death, time, pas... all of them are connected with your life on this realistic time. And he presents about "absence" in his works.
He begins to ask about your childhood. Is it the past time, isn't it? The past is over and we have the death in our past.
We know that our life will end at some future time. But we may ignore it on purpose to keep it away from us.
His works give us some considerations about the life and our time.



コメント

人生の奥深さを感じさせる作品ですね。。。そして、まりさんとしては、この作家の作品をもっと見たいと思われたのではないかと察しています。

みーまる 2018年09月20日

これはまた素敵なアートですね。
芸術の秋にふさわしいですね

Kyo 2018年09月20日

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