春の読書




本は時間があれば読めるのかと言えば、必ずしもそうではないようです。


読むべき時にしか読むことができないのが本と、読書というものかもしれません。


読みたいと思った時にしか、本を開くことは出来ません。
その読みたいバロメーターがどれくらい切実なところまで上がっているかによって、
今読めるのか、しばらく後じゃないと読めないのかが決まってしまいます。


何でも溜め込みすぎるのは本当に良くないことだと、ここ数年で痛感しており、
本も「今すぐ読みたい」「今日これから読みたい」と思うものを厳選して手にするようにしています。


キリがないのです、本当に。
そうでもしないと。
際限無く増殖します。
全てのことがそうなのだと感じます。








昨日今日の読書はこの2冊。











『つながり過ぎた世界の先に』(PHP新書)
昨今話題の哲学者マルクス・ガブリエルさんのインタビューをまとめた本です。
インタビュアーは大野和基さん。日本語訳は髙田亜樹さんです。


この本は約1年前に出た本なので、まだドイツはメルケルさんが首相を務めていて、世界的パンデミックの状況も今とは違っている頃の話なのですが、マルクス・ガブリエルさんの意見がまるで予言予知のような部分もあって驚きます。


そもそも私がマルクス・ガブリエルさんの存在を知るきっかけとなったのはビデオニュース・ドットコムという番組だったと思います。
哲学とこれからの社会の在り方、倫理と社会の関係性、これまでとは全く違う価値観や何物かまだ分からないような何かが動き始めている現在においてこの先どうなっていくのかなどを考えながら自分達の人生への対処をしていく上で、多くの哲学者や社会学者やジャーナリストたちが論考している中、このマルクス・ガブリエルさんが今の私には直感的に一番ワクワクする存在だったのです。


今全然分からないけど、なんだか気になる。
ここを知ったらまた新しい脳みその扉が開くのではないだろうか。


マルクス・ガブリエルさんの考えを知るにはもっと他の著書『なぜ世界は存在しないのか』や『世界史の針が巻き戻る時』などをまずは読まなければならないと思うのですが、
書店に行った時に偶然目の前の棚にあった本がこれだったので、軽い気持ちでそのまま読んでみた次第です。
結果、読んで良かったし、他の著書も今後読みたいと思います。


それにしてもマルクス・ガブリエルさんと私は80年生まれの同い年なのです。
素晴らしいその頭脳と才能。彼のプロフィール上に1980という文字を見たときに仰け反りました。ごめんなさい、なんだかとっても、ごめんなさい。頑張ります私。怠らず弛まずがむばりまする。ううう。





それからもう1冊は大好きな小川糸さんの小説『ライオンのおやつ』(ポプラ社)

しばらく前に出た本で話題の本だったのに、何となく読みそびれていてしまった本です。
つい先日読んだ小川さんのエッセイに、この小説を執筆・出版記念などをしていた頃の話が出てきて、グッといますぐ読みたい気持ちが盛り上がり、慌てて読み始めました。


今、読んでよかった。
この本は瀬戸内海にある直島のような場所にあるホスピスが舞台です。
生きるとは、死とは、ということについてここ最近は特に
考える時間が多く、だからこそこれは今じゃないと読めなかったし、
今だから読めてよかったなと思えたのだと思います。





20代30代の頃は、何かから逃げるように、叩きつけるように、
争うようにして本を読んでいた部分もあったように思います。
必死に引き出しを増やして、増やして、増やして。
足りなさを痛感して、自分の時間をビニール袋を無理やり引っ張って伸ばすようにして使って、あらゆる何かを獲得しなければいけないような気分で読んでいました。


それはそれで、そういう時期だったのだろうなと思うのですが、
今は、読んだ後に自然と考える要素が多くなり、
自分の人生と今に必要な本の栄養がちゃんと巡ってくるようになった気がします。



外は春らしくなってきましたね。
春の日差しを感じながら本を読むことができるというのは
なんと恵まれているのでしょうか。
瞼の裏に太陽を見ながら、今日もありがとうと思いました。


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