一周回ってカッコいい

事の発端は宮田珠己さんだった。
それまで読書と言っても小説、フィクションが中心だった私が、何の因果か偶然、宮田珠己さんのエッセイを手にした。
自費出版からスタートしたという彼の最初のエッセイ『旅の理不尽』である。読んだのはちくま文庫版だったはずだ。

これ程までに旅に夢中になり、これ程までに己の心にストレートに向き合う旅エッセイがあるのかと、驚いた記憶がる。
私の中にいつの間にか凝り固まっていた、旅行記へのつまらない思い込みを一気に覆した一冊だった。

そこから何冊か宮田珠己さんの作品を読み、そのうち他のエッセイストさんたちにも興味が湧き、高野秀行さんに辿り着いた。
さらに笑いは少なく重厚なものも読みたくなり、角幡唯介さんの『空白の5マイル』を手にしたところ瞬く間に引き込まれ、『雪男は向こうからやって来た』も続けて読み切ってしまった。

後から判明したのは、宮田珠己さんと高野秀行さんは仲良し。そして角幡唯介さんと高野秀行さんは同じ早稲田大学探検部出身で対談による共著まであったのだ。宮田さんと高野さんは一緒に旅行にも行っている。
なんと、偶然とはいえ、全員繋がっていたのだ。
道理で同じアンテナに引っかかるわけである。


高野秀行さんと角幡唯介さんによる対談の共著
『地図のない場所で眠りたい』(講談社文庫)を読み終えた。

旅についても文章についても全く異なるアプローチをする二人だが、この本では旅の裏話というよりも、二人それぞれの性格が浮き彫りになっているところが面白い。
一際直感力に優れた天才肌の高野さんと、ストイックさがありながらも自由度の高い絶妙なバランス感覚を持つ角幡さん。

ジャーナリストとは何か、エッセイストとは何か、これまでには無いジャンルを模索し、確立してきた二人の思いが、ストレートな言葉で交わされている。

対談では高野さんが角幡さんを比較的持ち上げていたり素直に羨ましいと感じていたりする面が随所に見られるのだが、最後のどんでん返しはやっぱり高野秀行さんだった。
この本を読む方はぜひ、最後の後書きまでしっかり読んで欲しい。

高野さんの後書きの一番最後のフレーズは、それまでの対談内容が全部吹っ飛ぶようなもので、高野さんが述べるからこそ意味深い締め括りの言葉だった。
同じ言葉を角幡さんが書いても、きっと、なんだかイマイチなのである。

文章はあらゆる方向から積み重ねられる。

溢れる情報が手元に届く現代においては、文字に文字以上の効果を担わせることも可能なのだろう。

一周回ってカッコいい高野秀行さんの本を、また読もう。








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#高野秀行 さん
#角幡唯介 さん
#早稲田
#探検部



When I was a teenager, I didn't like the essay about travel. I couldn't catch the interesting anything about someone's traveling stroy.
But one day, I found an essay written
by Tamaki Miyata. His first essay was hit me deeply. The book was published by himself at the first time, and after that, he could contract the famous publisher. He was so freely, and his words were not decorated with any vanity.
I loved his words and read some other his essays.

Next, I found another good writers, Hideyuki Takano and Yusuke Kakuhata.
I read their books too.
After reading, I knew that they had some relevance each other.
Tamaki Miyata and Hideyuki Takano are a good friends, they sometimes go trip together.
And Yusuke Kakuhata and Hideyuki Takano were graduated at same university, and they also joined the same club named "Waseda Exploration Club".
No wonder I loved their words.


I read a book characterized talk session by Hideyuki Takano and Yusuke Kakuhata.
Hideyuki Takano seems like a comedian, and Yusuke Kakuhata looks like a journalist.
They are writers about trips, but their characters are completely different.

When you read this book, don't miss reading the afterwords.
Hideyuki Takano's last words were grabbed my heart. He was trully cool man.
I want to read his another books again!



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コメント

旅のエッセイ、いいですね。ちなみに、私は、伊集院静さんの旅についての作品が好きで、たまに読みます。。。

みーまる 2019年05月18日

素敵なものに出会うことができましたね

Kyo 2019年05月18日

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