ゴードン・マッタ=クラーク展
東京国立近代美術館で開催中の展覧会です。
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/gmc/
かなり前に観に行ってきたのに
ここに書くのがすっかり遅くなってしまいました。
35歳で、病によりこの世を去ったゴードン・マッタ=クラーク。
作品製作に費やした時間は決して長年といえる年月ではないにもかかわらず、
その作品点数の多さ、一つ一つの内容の深さと濃さに、圧倒されます。
展示室内も作品点数が多いことと、映像作品も多いというのもあるのですが、
面白くて深くて、とにかく観て回るための時間がいくらあっても足りない!
あくまでも、わたしの個人的な作品の見方ですが、
まずは何も読まずに作品を眺める。
次にキャプションにあるタイトルや製作年、解説を読む。
そのあともう一度作品を眺める。
という工程(これはどんなアートでもだいたい共通したわたしの見方かも)
一つ一つの作品のコンセプトを読み込んで、
もう一度作品を見たときの
衝撃がすごい。
最初に見たときの印象と
全然違うものが見えてきたりして。
それでますます面白くなって
どんどんハマっていく。
一見「なんじゃこれ?わけわかんないなー、つまんないやつかな、流して見ていいやつかな」と初見で思っても、
彼がなぜその作品を作ったのかを読んでしまうと
「うわ!つまらんとか思った私が大間違いでした!」
とショックを受ける。
解体前の作品を切断した《スプリッティング》が展覧会告知などでも多く紹介されていて、
すごくキャッチーなものにも見えるのですが、
彼の面白さはこんなもんじゃない。
展示をするとは何か。
空間を自由に扱うことについて。
既成概念で見ていたことの崩壊から生まれる、新しいもの。
例えば
Aという場所にあった鉛筆が
突如Bに持ち込まれたとき
もはや鉛筆ではなくなる。もしくは鉛筆として見られなくなる。鉛筆は場所を移しただけなのに。
と、いうようなことが
そこかしこに並んでいるんです。
そしてこの展覧会の面白いところのもう一つは、
観る人に結論を一切押し付けていないところ。
展覧会では、観る人の動線を考え、展示室の章立てをし、見せ方を説明したい内容に合うように、
それぞれ工夫しながら、配置を決めたり、部屋ごとのタイトルをつけたり、キャプションに反映させたりしています。
ですが、今回の展覧会では
ゴードン・マッタ=クラークの要素が、展示室に散りばめられている。
もちろん動線はあり、
鑑賞者は順路に沿って観ていくわけですし、
最初の展示室は、説明的なことや、展覧会のプロローグにふさわしい部屋にすべきだという考えで構成なさっていたのかなと感じたのですが、
それ以外のところでは
ゴードン・マッタ=クラークに、ある種奔放にも思えるほどのアプローチをし、
鑑賞者に多角的なメッセージを放り投げてくれているように、私は感じました。
その結果、どうなったかというと、
観終えて、
会場を後にする時、
私の中にゴードン・マッタ=クラークの洪水が起きた。
様々なヒント、要素が一気に投げかけられたように感じ、
自由に思考するキッカケが発生したんです。
それは決して混乱ではなく、
心地よい問答の連続で、脳への刺激なのです。
ステキな人と、アートや建築、時代や哲学、生きるということについてまで、延々と語り合っているときのような。
会場を出たとき
「ああ、とてもいいキュレーションの展示だったなあ。」
としみじみ思ったし、
もちろんゴードン・マッタ=クラークについてや、彼と同時代のアーティストや、後にPS1の館長になるアラナ・ハイスにも興味が湧いたし、
今でこそ様々なスペースがあるけれど、当時出てきたオルタナティヴ スペースというものの始まりについても更に知りたくなりました。
現在日本語で読むことのできる彼についての資料はかなり少なく
展覧会図録はそういった意味でも貴重。
もちろん購入しました👍✨
オリジナルトートバッグが付いてきたよ。
内容もしっかり充実。バイリンガル表記。
図録もおすすめです。
そして、
企画展をみると、その日に限り常設展も企画展のチケットでそのまま観られるのですが
案の定今回も、企画展のみでタイムアウト!
東京国立近代美術館は常設展もかなり充実しているので、私はなかなか同時には観られないんです。
また改めて常設展だけを観にも行きます😭
そんなこんなで
長くなってしまいましたが
ゴードン・マッタ=クラーク展
おススメです!!
展示室内は写真撮影もOKなので
気軽にアートを観に行ってお気に入りの作品を見つけて記念撮影とかでもいいですね👍✨
アート鑑賞
2018年の147件目
7月の4件目
でした。
I went to the exhibition of Gordon Matta-Clark : Mutation in Space.
I met his works at the first time on this show.
It might be the best show of this year I got.
I caught many good questions about his art.
The curation for this show was very good!!
↑この細長い土地の話も
うわー、そう来たか、面白い!
ってなったなあ。
ぜひ展示室でチェックしてみてね。
ひとつひとつの作品の良さを見逃さず、深く味わうところが、さすがアーティストの奥さんですねー、と感心します。。。