一気に読み終えて興奮、感動さめやらぬまま
ブランチを済ませました鈴木麻里です。
とりあえず温かい漢方を飲んで
ふーっと一息。
いやー
『半魚人伝』(三五館)
面白かったなあ。
藤崎童士さんが書かれた
水中写真家・中村征夫さんについてのノンフィクション本。
結構分厚い本だったんですけれど
一気に読み切りました。
中村征夫さんご自身が書かれたエッセイは
以前読んだことがありました。
その時も、ぐいぐい引き込まれて一気に読み切った覚えがあります。
(その時のブログ記事は、以前のブログ、アクアクアマリンの2010年8月28日の記事『海も天才である』にあります。気になってしまった方はご参照ください。
記事はこちら
↓
http://blog.oricon.co.jp/mari-suzuki/archive/1536/0)
今回の『半魚人伝』でも
心に残るページがたくさんありました。
『Bing』という本に掲載された時の征夫さんのコメントが転載されていたところ。
「どちらかと言えば僕は楽天家である。自分に自信があるわけではないが、将来の不安よりも、きっとなんとかなる、という希望だけは捨てていなかった。」
きっとなんとかなるという考え方を
「楽天家」と言いながらも
「希望」と言っているところにドキッとしました。
そう、征夫さんの楽天家思考は、
希望を捨てないということなんですね。
無鉄砲なお気楽主義ではなく
希望を常に胸に抱いて突き進んでいく。
その力強さを、この本のあちこちから感じるんです。
著者の藤崎さんも
征夫さんが仕事先とトラブルになり絶望的な状況に追い込まれた時のことを、こう書いています。
「この行き詰まりを打開するには、彼にとって選択肢は一つしかなかった。―己を信じること。そして撮り続けること。」
征夫さんは常に自分を信じているんですね。
やってきたことに対して自信を持っている。
それは私が理想とすることでもあるんです。
読んでいてすごくドキドキしました。
自分を信じてあげられるからこそ
出てくる考えだよなと思うのがジンベエザメを撮影した時のエピソード。
「当時は「中村征夫もこんな構図で写真を撮るのか?」と、一部の写真家からは揶揄されたらしい。だが中村征夫は、「この写真は狙っては絶対に撮れない。未知の遭遇だからこそ計算外の迫力や美しさがあり、自分としてはおおいに気に入っている」と笑い飛ばしている。」
他人の評価も気になるのは当然のことだけれど
自分が信じた道をしっかり突き進む。
信念があり、努力を続けてきたからこそ出てくることなんだと感じます。
この本の中には
椎名誠さんとの親交についても触れられていて
『あやしい探検隊 海で笑う』という著作があるようなので
これは今度探してみたいと思います。
その「あやしい探検隊」は、のちに「いやはや隊」と呼ばれるようになるようですが、
征夫さんの言葉は、こう綴られています。
「海や写真ばかりではなく、人として、″感じる心″を再発見させてくれたのは『いやはや隊』だったような気がする。俺は海を仕事場としてやっているけど、それだけじゃなく、あらゆるものに常に感受性を持ち続けたい。なんでも吸収したい。そういう旅をこれからも続けたいと思っている。」
弟子をとったときに挨拶や言葉遣いなど
基本的なことにも厳しかった征夫さん。
私も秋田でバレエ学園に通っていた時に
バレエが上手になる前に、そういう人として基本的なことが
きちんとできなければ、なんにもならないと
バレエの先生に3歳から仕込まれていたなと思い出しました。
カメラマンでありながら
人として自然や生き物と向かい合うことを自信に問い続けた征夫さん。
精神の根源は、きっと様々なところに共鳴しあって作品につながっているんですね。
諦めない強さと
負けない精神に
撮りたいものをしっかり見つめ、
常に新しい目標がある。
あれだけたくさんの写真集を出したり
写真展を開催したりしているのに
次になにかやろうと持ちかけられると
常に「心に以前から温めていたもの」があるんですね。
それがすごい。
夢を追い続けられるっていうのは
いつも目標を見失わないように修正しながら進めることでもあり
常に努力を続けられることでもあるんだと感じます。
すごくいい本に出会ったなあと思って
今日はとても幸せな気持ちです。
征夫さんの写真展がまた東京で開催されたらいいな。
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