シャセリオー展

風薫る五月、憩う人々。
若葉が萌え、瑞々しい生命力に溢れる季節。
初夏の日差しを受けた木々は、地面に穏やかな影を落としていました。


爽やかな休日の、午前から午後へと移ろう公園をゆっくりと歩きながら向かった先は‥

国立西洋美術館〈シャセリオー展〉

シャセリオーは19世紀に名を馳せたフランスの画家であり、若くして才能を見出され早熟の天才と呼ばれていました。私はパンフレットの肖像画に惹かれ、シャセリオー作品を観たいと思っていたのですが、知れば知るほど、深く誘われ、神秘と未知さえ感じるものでした。

古典主義からロマン主義へ傾倒し、優美でありながらも感情を秘めた独自の世界を投影し、曲線や印影、重ねられた色彩の細やかさ、異邦的〈エキゾチズム〉な雰囲気が香りただよっているのが特徴的でした。

シャセリオーの描く人物には驚くほど感情が与えられ、その心情をありありと捉えられるほど孤独を携え、悲しみに暮れ、怒り、安らぎといった豊かな人格が息づいていました。とくに人物画は、目が雄弁に語りかけてくるようで吸い込まれそうでした。
どの作品にも対象物への深い愛着、愛情ともよべる親しみが感じられ、物語が永遠に続いているような余韻と調和に満ちた印象を覚えました。

若きシャセリオーの目と心は、演劇、文学、音楽といった創造と美を捉え、旅先の母子や色彩、あらゆる可能性に満ちた世界に心を通わせ、独自の美を描き続けたのでしょう。

早熟の天才は37歳で夭折しました。
これら異彩を放つ作品は、語るに語り尽くせない魅力に満ちていました。

常設展も見応えあり。

松方コレクションと呼ばれる所蔵作品は、モネ、セザンヌ、ルノワール、ゴーガン、ピカソ、ロダンなどの巨匠作品もあり、満足すぎるほど美に浸りました。
なにしろ国立西洋美術館そのものが世界遺産。

美と思想は褪せることがなく発展し続け、人々は無意識に求めざるを得ないものだと感じました。
#美術鑑賞
#美術館
#シャセリオー展

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