この物語は谷崎潤一郎によって描かれた春琴抄という中編小説が舞台化された作品です。
日本の文学にはあまりなじみのない、男女の特殊な愛情表現が記され、春琴と佐助というふたりの男女が、他人には理解できぬような目に見えない深い絆を結び合っているのが衝撃的でした。
型にはめることのない自由な価値観で生き、しかしお互いに必要としながらそばに居続ける。こんなに不器用でひねくれた、そして純粋な愛があるのかと春琴のもつ独特の人間性とそれに奉仕していく佐助の姿には、不思議なものがたりを観ているようでした。
三味線の音色も、他人とは違う価値観のなかにいるふたりの心情に添いながら、絶妙な世界を演出していました。
演技はもちろんその世界観や演出のすべてが趣向をこらされ、シンプルのなかに深みが凝縮され、余計な装飾や華美な要素はそぎ落とし、洗練された最上級のプロの成す技でした。
あぁ、こんな女優さんになりたい‥と生のお芝居を観て感じずにはいられませんでした。
そして、日本の古典的な文化のすばらしさを再確認した舞台でもありました。
この仕事についてもっともっと多くのことを学んで、引き出しを拡げて吸収したいです。いろいろな経験をして見聞を深め、レッスンやお仕事のなかでこつこつと演技の追求をしていきたいです。
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