命と向き合う部活『犬部!』

『犬部!―北里大学獣医学部―』(ポプラ社)
片野ゆかさんが書かれたノンフィクション本を読みました。

犬部は青森県の十和田にある北里大学獣医学部のサークル名です。
現在は北里しっぽの会という名前になっています。

この本には犬部が出来てから、
部の移り変わりと、そこで出会った犬や猫たちのこと、学生たちの悩みと成長が書かれています。

八戸市で行われた譲渡会のことも触れられていました。
実は私は、中学と高校を八戸市で過ごしていました。
犬部が出来たのは2004年なので、すでに八戸から引っ越してしまい、
この部の存在は今まで知りませんでしたが、
知った土地が出てくるだけで不思議と親近感を覚えてしまいます。

犬部は部員が増え、大きくなるにつれて組織としての問題も抱えていきます。
それでも共通しているのは、みんな保護されてきた子たちの幸せを願っているということ。
けれど色々な差があって、どこにも正解なんてないから問題をすっきり解決するのも難しい。
犬部が休部になってしまった時の様子からも、みんながそれぞれに動物を愛し大切にしたいと真剣に思っているからこそ、悩みや葛藤があったと感じます。

犬部に保護されたビビり犬のアズキは、我が家のウィルにそっくりです。
怖がり方がぴったり同じ。ウィルはブリーダーさんの家から来た子なのですが、男性や子供を異様に怖がります。
部員が保護犬に「なにがあったの?」と質問したくなるというシーンがありますが、私もウィルに「どうして怖いの?」と聞きたいと感じることが多々あります。

犬部で子供向けの絵本を作ったというのも、素敵なことだと思いました。子供の頃に親から教わったことって結構染みついているものです。私は母に「動物は痛いとか嫌だとか言えないから絶対に虐めてはいけない」と教えられて育ちました。今もそれが根底にある気がします。

犬部の学生たちは活動を非難されたり、無責任な人間の行動に直面したりします。
「そもそも理解者ばかりだったら、犬や猫を平気で捨てる人など世の中にはいなくなって、つまり動物愛護活動など必要ない社会になっているはずだ。」という片野さんの文章にはっとさせられました。

文章全体も重苦し過ぎる感じがしないので、犬猫の可哀想な本はちょっと…と避けていた人でも、動物愛護と向き合う学生の前向きなパワーをもらえる1冊だと思います。
片野さんの他の本も読んでみたいな。


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