『ライオンハート』(新潮社)
恩田陸さんの小説の話。
魂の片割れを、時代を超えて何度も探し続けるエドワードとエリザベス。
どの時代で、どんな年齢、職業、立場として出会うかはバラバラだけれど、
どちらかの夢の中にどちらかが登場し、
いつかどこかの時代で会っていたことを確信していきます。
けれど、やっと会えたと思っても
なんらかの形ですぐに引き離されてしまう二人。
その度に何度も何度も
次の出会いを求めて魂の旅に出て行くのです。
この時をこえた旅の始まりはどこにあったのか。
バトンのように引き渡されていく刺繍の入ったハンカチ。
夢に何度も出てくる紋章。
時をこえても結ばれることのないエドワードとエリザベスですが、
過去に一度だけ夫婦だった時代がありました。
けれど二人は、老年までお互いをお互いと気が付かないままなのです。
何かの瞬間に心が開いて「気付く」ことがなければ、
「探そう」という強い力がなければ、
どんなに近くにいても大切なことに気が付かないままなのかもしれませんね。
「いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ。」
エリザベスがエドワードに、時代をこえて何度も言っていたことです。
説明も証明も出来ないけれど
確固たる何かがこの世には存在するようにも思います。
その時の身分や年齢、立場を全て無関係にして
間違いなくこの人を探していたと分かった時の輝き。
もしもそんなことに気が付くことが人生の中で1度でも出来たのなら
この上ない幸せな瞬間なのかもしれません。
この世は分からないことだらけ。
そんなこともあるのかもしれないと
ふわりと胸の奥に温かい綿が着地するような
ある愛の物語。
好きであることに理由はいらない、理由がない方がむしろ幸せなのかもしれません。
似たような本を過去に読んだことがありました。
『魂の伴侶―ソウルメイト 傷ついた人生をいやす生まれ変わりの旅―』(PHP文庫)
10年以上前に友達が薦めて貸してくれた本だったと思います。
朝倉かすみさんの『タイム屋文庫』に出てきた
時代旅行をテーマにした本屋さんには
これらの本は置いてあるのかしら
なんていうのでまた別の本のことも思い出してみたり。
いろいろ、意外なところで繋がる本でした。
まりさんは、いつもいろいろな本を読んでますね。
凄く参考になるし、なるほどと思って見てますよ。
またいろいろな本を紹介してくださいね。