そよぐ心

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暑い暑い日に、手軽に涼めそうなカフェもなく、ふらりふらりと歩いていると
こじんまりとしたベーカリーカフェがあらわれました。

アイスコーヒーも飲めそうだし、
休んで行こうとちょっと立ち寄り。

強い日差しの中、
日除け対策をしていても、
ほんの少し肌が出ていた足の甲が
ほのかにひりひりすると思いながら、

夏の真昼間に出歩くもんじゃないと毎度毎度思いつつも、

やっぱり楽しくてやめられないのが街歩き。

日焼け、気を付けないとなあ。

モデルレッスンを受けていた時、
とある先生の話をきいて、ものすごく納得し、
以来、徹底した日焼け防止をするようになった私。

「モデルはなぜ日焼けしてはいけないのでしょう？」

という先生の問いに対して
私も含め生徒たちは、

肌によくないから

シミになるから

など、

美容面からの自己管理に焦点を当てた答えを出していました。

その時の先生がおっしゃっていた正解は何だったと思いますか？


実は、私たち生徒の誰一人として、
正解を答えることはできませんでした。

先生がおっしゃったのは

「季節感が出てしまうから。」

という答え。


モデルに限らず、女優のお仕事であっても
撮影をする時には、
実際の季節と全く正反対の設定で話が進行しているということも多々あります。

例えば、セーターに、ウールのオーバーコートやファーのマフラーなど
真冬の服を身につけているのに、
肌が真っ黒く日焼けしていたら、どうでしょう、ということなんです。
設定とずれが出てしまい、困りますよね。

日焼けしてしまったところは、
上からいくら白い、明るい色のお化粧を重ねても、
くすんで灰色っぽい肌になってしまったり…。
メイクでも隠し切れない場合が多いんです。

この先生の「季節感」というお話を伺ってからは、

いつ、なんどき、どの設定の季節でのお仕事でも出来るようにと考えて生活するようになりました。


ちょっと正直挫けそうになる日もありますが
日焼け対策のために、長袖をはおるようにしています。

とはいえ
ここ数日の急な暑さ。
さすがに
暑いよなあと思わずにはいられません。

そんな暑さに「あー、たまらぬのう…」と思っていたところに出会ったのが
この一言。

「素敵な日になりますように」

ベーカリーカフェでしっかり涼んで
また暑い外に出ようとした時でした。

出入り口の取っ手に、
こんな言葉が書かれていたんです。

「素敵な日になりますように」

この言葉がうだるような暑さの外でも
しばらくそよ風を吹かせ続けてくれました。