東京です。
出張のお供の本から
すごく癒しの力をもらいました。
『カイルの森』(角川書店)
詩集などでも有名な銀色夏生さんの小説です。
朗読台本のような、
はたまた、散文詩のような
独特の文体で書かれたファンタジーです。
心のクリーニングをしてもらえるような
素敵な文がたくさん詰まった本。
迷った時に背中をそっと押してくれるようなパワーを感じる1冊です。
主人公は第七星に住む庭師のカイル。
途中に挟まれた詩や
セリフが
美しく深いです。
願いを叶える方法を妖精にきかれたカイルは
「強く願ったあと、その願いを忘れるんだ」
「忘れることができたら、いつのまにか叶ってたりするんだ」
と答えます。
これはなんだか身に覚えのある話。
「固執する」ことと「強く願う」ことの微妙な差の中に
願いが叶う鍵が隠されているのかもしれないですね。
「どの言葉も、いつも途中のなんだけど、
途中でも、途中までのことを、ちゃんとその時に、伝えておきたい。」
「何かを強く感じた瞬間に、その思いを伝えることが大事だと、
いつもいつも、その時が過ぎてから、思うよ。」
なにか言いたいことがあった時に、
すごく頭の中できっちり整理してから述べようとか
最適な表現を探し続えて考えてたりとか、
頭の中でばっかりぐるぐるしちゃって、
結局どの言葉も出てこなかった、
なんてこと、あります。
本当は途中に出てきた言葉を並べただけでも
何かが生れるかもしれなかったのに、
そういうのってカッコ悪いかも、とか、
ずばり最高の表現で言ってみたいっていう欲とか、
考えすぎちゃうんですよね。
そうこうしている間に
もやもやの霧になってしまって
まとまりそうだったかもしれない言葉が
ふわふわとどこかに逃げて行っちゃう。
「愛っていうのは、川のように流れてるものなんだ。
人から人へ。人から物へ。
そして循環してる。
でも、悲しみすぎると、愛がつまっちゃうんだ。
つまって流れなくなって、心が硬くなって、
どんどん寂しくなっていっちゃうんだよ。
そうなるとだれも近づけなくなる。
だから、悲しみすぎるといけないんだ」
この「愛が詰まって心が硬くなる」っていう表現、
ずしんと来るなあって思います。
人は生きていたら
悲しいこともあるし、
辛くなって苦しむこともあるけれど、
悲しみの心に捕らわれ過ぎてしまうと
進めなくなってしまうかもしれないんですよね。
この本から
行き詰まった心にも
流れの輝きを取り戻せる力を
もらった気がします。
まりさん、今日も素敵な本に出会えたの
ですね。
本との出会い、私も、この頃は、良い本に
沢山出会うことが出来、幸せな毎日です。
まりさんも、更に、沢山の良書に出会い、
人生を深めて下さい。