『刺繍する少女』

ほんわかと、ゆるやかな余韻が残る短編集を読みました。

『刺繍する少女』(角川書店)
小川洋子さんの小説です。

どこか隣にある日常の物語のような空気と
なんだか不思議なことだ、普通じゃないかもしれないと思わせる要素が
あちこちにありながらも、もしかしたらこれが日常の一部として正しいことなのかもしれない、
自分が知らないだけで、そういう世界もあってもいいかもしれない、
でもなんだか、
違和感が残るような、
不思議な風が吹いていく短編集です。

どこかの家族のいつもの毎日の中の物語であって
でも何か大切なことを見落としているような気がしたり、

日常と非日常の微妙な境目を
絶妙に揺れ動くような感じがします。

読み終えた後に
なんとも言えないような
気を付けていなければ見逃してしまうかもしれないようなものが
真っさらなシーツの上にふわりと落ちているような感覚。

これが小川洋子さんの独特の世界なんだなあと思います。

劇的な変化や
スピード感のある小説じゃなくて

今日はゆっくり暖かい飲み物を
大き目のマグカップに入れて
時間を気にせず読書を楽しむ日

そんな時に読みたい本でした。


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