雰囲気のいいカフェ
ゆったりと流れる時間
『カフェかもめ亭』(ポプラ社)
を読みました。
村山早紀さんの小説です。
『ささやかな魔法の物語 カフェ・かもめ亭』という
児童書として出版されていたものを加筆・修正し、
新たに書き下ろし作品も加えて
文庫として出版されたもの。
子供から大人まで楽しめる素敵な本です。
さし絵はカバーにある絵以外ほとんどないのですが、
それでもなんだか
ほんわかとした絵本の世界に浸っているような
優しい気持ちになります。
村山早紀さんの小説は
以前に『コンビニたそがれ堂』のシリーズで2冊読んだことがありました。
この『カフェかもめ亭』も『コンビニたそがれ堂』と同じ、風早の町が舞台。
そして、本当に必要な人が本当に必要な時にたどり着けると言われている
「コンビニたそがれ堂」も出てきます。
今回は「カフェかもめ亭」で語られる様々な物語。
人魚のステンドグラス、
磨かれて黒く光るカウンターや床、
船の中をイメージするようなインテリア、
自動演奏ピアノから流れる素敵な曲と
お店にやってきたお客さんが
色とりどりの物語を紡いでいきます。
お客さんが注文する飲み物も素敵なものばかり。
マスターがお客さんを思って丁寧に入れてくれる様々な飲み物は
どれも飲んでみたい!と思わせるものです。
こんなカフェがあったら、行ってみたい。
ゆったり本を読んだり、何か書いたりしながら、
マスターの美味しいお茶で午後のひと時を過ごしてみたいです。
「ねこしまさんのお話」では、
「猫は勝手な生き物と言われがちだけれど、心底落ち込んでいる人のところには、
ちゃんと、大丈夫?って来てくれる。犬より心の中の悲しみを感じる力があるかもしれないと思う。」
ほんと、猫ってそうなんですよね。
一番落ち込んでいる時に、必ず傍に来てくれるんです。不思議です。
カフェかもめ亭には人魚も訪ねてきたり、
小さな女の子が一人でやってきたり、
みんなが、ちょっと不思議で
とっても温かい縁で繋がっているんです。
「『幸福の花の種』は、そして、ここにあるのです―地上のみんなの、心の中に」
幸せを探して人は旅に出たりもするけれど
本当は、とっても近く、
心の中の扉を開けば
そこに幸せがあるのかもしれません。
優しい気持ちがふわっと残る
素敵な作品。
読みながら、ゆったり特別な気分になりたくなって
いつもと違うお茶を入れてみました。
菊の花やハッカの葉などが入った漢方茶です。
ふうんわり。
灯台もと暗しですね。(._.)オジギ