早めのランチを済ませた残りのお昼休み
そんな、毎日にぽろぽろと存在する
隙間時間にも読めそうな
ショートショートを読みました。
『ちいさなおはなし』(集英社)
新井素子さんの作品です。
「こゆび」では、人間のどの部分が一番大切なのかと、
それぞれの部位や内臓までもが、自分が一番だと主張し合います。
面白くて結構深い話。
「くしゃみ」では、コミュニケーション・ツールである言葉について。
「共同体全員が同じ言語を習得しなければいけなくて、その上、誤解や行き違いが発生しやすく、とどめとして、嘘をつくことが可能。」と、あります。
そう見たら、確かに言葉ってすごく難しいし、問題が山積みなんですね。
言語と文字の発達により、歴史が記録され、意思伝達が可能となった
便利なもののように感じていましたが、
視点を変えるだけで、こんなにも問題を浮き彫りにしてしまえるなんて…。
「ゆめ」では
「人は、記憶に埋もれてしまう生き物です。それが、よいものであれ、悪いものであれ、あまりに沢山の記憶は、人のことを圧倒します。」
これは最近の私が特に感じていたことだったので、
どきっとしました。
記憶に埋もれるのか、記憶が埋もれるのか、
記憶が記憶に埋もれ、記憶が記憶で掘り出されることもあり。
そう考えていくと
記憶の糸をたぐるための手段(なんらかの記録)って
すごく重要な位置を占めている気がしてきました。
ちゃんと、書いておこう。
他にも子供の頃の思い出がよみがえった作品も。
「くものいと」を
耳で聞いただけだったので「蜘蛛の糸」ではなく「雲の糸」だと思っていた子の話とか。
あるある、そういうの。
私は天気予報でよく聞く
「波浪警報」を「ハロー警報」だと思ってたんです。
ジョークじゃなくて、真剣に。
英語でこんにちはの、あのハローです。
小学校に出かける前に天気予報を見ながら、
ハローだなあって思っていたんです。
呆れる程のどかでしょう?
「たまご」の話にでてきたことも身に覚えがあり…。
ふりかえきゅうじつ
のことを
頭の中で漢字変換出来なかった時代には
ふりかえりきゅうじつ
って言っていたんです。振り返り休日。
何を振り返ろうっていうんでしょうかね。
月曜日なのに休みだなあ、それは昨日が祝日だったのに日曜日に重なったからなんだなあ、
と振り返るとでもいうのでしょうか。
いいかげんな子供時代も思い出しながら
クスッと笑える1冊でした。
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