2巻の効能『真夜中の五分前』

分厚い本で
上下巻に分かれているもの、ありますよね。
物語の区切り目ということと、物理的な問題からということと。
いろんな事情があって1冊にまとめられないものだと思います。
単行本では1冊になっていたのに
文庫本になったら上下巻に分かれたりすることもあります。

でも

今日は1冊でも大丈夫そうなのになあ
という厚さの本で
2冊に分かれているものを見つけました。

『真夜中の五分前―five minutes to tomorrow side-A』(新潮社)
『真夜中の五分前―five minutes to tomorrow side-B』(新潮社)

この2冊です。
書店で文庫になっているのを以前見かけ、
1冊はずいぶん薄いなあ、でも分かれている…
そして必ずside-Aから読んでください、と書かれている。
それだけでもなんか気になる、と思ってたんです。

今日は単行本で見つけて、一気に読み切ってしまいました。

本多孝好さんの小説です。
以前『MOMENT』という小説で本多さんの作品を読んだことがありました。

今回の『真夜中の五分前』は直木賞の候補にノミネートされた作品。

2巻に分かれたのは、それぞれの巻の間に1年半ほどの時間が空いていたからでした。
最初は時間の問題だけかなあとも思ったのですが、side-Bを読んでいると、
2巻の間の絶妙な距離感を感じます。
それだけの時間の間に、人は以前言っていたことを忘れていたりもするし、
でも1年半なら、遠過ぎる過去ではないので、
ふと思い出せるような記憶も多かったりする、微妙な時間の経過なんです。

1冊目のside-Aで、読み終えた読者にパタンと本を閉じさせることによって、
ある種の完了形も与えられるし、side-A内で語られていたことを、
登場人物と同じように過去のこととしてside-B内で振り返ることが出来る気がします。

もちろん1冊の本にして、
あれから1年半が経過したとして
新たに章立てすることも
物理的には可能だったと思います。

でもあえてそうしなかった。

絶妙です。
実に絶妙。

登場する一卵性双生児の、日比野かすみと、日比野ゆかり。
区別がつかない二人は、本人同士も自分がどちらなのか混乱することがあると言います。

けれど
髪型や服装で別人になることは出来ない。
「まるで別人のよう」になることは出来るけれど。

ただしそれは、自分自身が同一人物だと認めているから
成り立つことなのではないでしょうか。
もしも本人が同一人物だと分からなくなったら…

ミステリーと同時に
アイデンティティへの深い疑問も投げかけてくれる作品です。











コメント

本好きなんですね!!
一番オススメな本教えてください♪

 ひだい あやか 2011年02月16日

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