先日行った美術展をもうひとつ。
サントリー美術館の
「美をつくしー大阪市立美術館コレクション」
(画像は公式ページからお借りしました)
タイトルにあるように大阪市立美術館のコレクションがサントリー美術館で公開されていました。
なかでも印象深かったのは、尾形光琳が息子に宛てた手紙です。子を想う親としての温かさに天才絵師の知られざる一面を垣間見ることができました。
他、「小袖屏風虫干図巻」勝部如春斎 江戸時代・18世紀の作品も、屏風を虫干しした何気ない日常を思わせる光景の中に、そよ風にあたる華やかな屏風の数々と、空気感に惹かれました。
そして終盤に展示されていた根付も見応えあり!
現代でいうと漫画のキャラクターをフィギアやキーホルダーにしたような世界観。
この空想的キャラクターを江戸時代に手彫りで作っていたの?留め具として身につけていたの?と驚きばかり。
どれを観てもユニークで信じられない面白さ。
しかも所有していたのはスイス人の実業家・日本美術蒐集をしていたカザール氏。
カザールコレクションと呼ばれる数々です。
江戸の根付の多くは海外に流失してしまったのですが、こうして国内に残った理由には太平洋戦争の影響がありました。アメリカに移送するところ、幸いにも国内に留まり戦火を逃れた貴重な根付。
根付は奥が深いので、また根付にフォーカスした展示をじっくり観たいです。
このコレクションで紀元前〜近代の作品ジャンルを観て、私は江戸の美術が好きだと再確認。
すぐれた芸術家が活躍し、めきめきと芸術文化が栄えた時代背景もありますが、
デザイン性、ユーモア、斬新な構図、無駄のない配置、色彩美、情景、作品への情熱、すべてにおいて好き。現在あるアートの原点と言えるものばかりです。
時代に逆行するほど、今よりずっと新しく、この時代にすでに洗練の極み迎えていたのだ思えるのが不思議なところ。
華やかさと優美さを湛えた作品からは想像がつきませんが、その域に辿り着くまでには作者が鍛錬に鍛錬をし高みを目指したからこそ生まれた作品であることが伺えます。
幾重にも時を重ねたものだけがもつ存在感。一人の人生よりずっとずっと長く生きる芸術品。私達の目に触れてからもこの先何百年・何千年と時を刻んでいくことでしょう。あらゆる人の手から手へと渡り、過去と未来の橋渡しをする役割。そして人類の歩みそのものとも言えます。
なにより美術品を観ていると、その時代に時が止まったかのような感覚に。
技巧の美しさに心奪われるだけではなく、作品の生まれた時代に想いを寄せ、作者の心のうちに触れられる気がします。
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お盆やお彼岸に家のお墓を掃除しに行くと、一番古いお墓の年代が、江戸時代の中頃になっており、この時期から一般の人の経済が安定してきたんだな、といつも思っています。
また、現代を振り返っても、経済を安定させることは容易ではなく、庶民が暮らしやすい、世の中を作った、100年以上も前の江戸時代の施政は素晴らしいと思わされます。
そして、その世の中で華咲いた美術は、江戸時代を生きた方たちの心の豊かさを、現代に伝えてくれています。加えて、僕も、ゆりえさんのように、江戸時代の美術や文物に触れて、心豊かな人になりたいと思いました。