待ち時間で読書

今週末もお仕事現場にて。

家の近くは銀杏並木が色づいてきて、
各地の山々は紅葉のきれいな時期🍁
樹々が紅葉を迎えると嬉しいです。

待ち時間に読むためにバックに入れていたのは
「さよなら渓谷」
映画も観たのですが、深い内容に惹かれて原作を購入しました。

ネタバレになるので感想まで。
（本当はもっと語り尽くしたい）

作品の中だけでなく世の中に実際に起きていた性犯罪事件。実際にあった事件を思い起こさせるテーマに触れながら男女の人生を描いたフィクション作品。小説はより社会的な一面が描かれていて、被害者はずっと苦しみの中で生きつづけなければならない。心のうちが痛烈に描かれている。

　主人公の男女の生活は側から見たら一見理解し難く、異質なものに見えるけれど、それこそが人間たるものの姿。
人間って多くは煩雑で脆弱で漠然としていて、誰かに何かを埋めてほしかったり必要としてくれる人を欲したり、いつも何かを求めて探している。

二人の抱える憎しみと贖罪と愛は、繊細でもろくて、
言葉では言い表せない深い部分で互いの気持ちを理解しあえている。だから悲痛を伴うだけではなく、温かいものに触れているような気がしてくる。
そこには他人が介入してはいけない境界線があるような気がしてくるし、できるならば静かにそっとしてあげたくなるような二人だった。

渓谷の描写は、淀みなく爽やかで、作中の蒸しっとする暑さを和らげてくれる。それが人間の生々しさと対照的でとても清らかに思えてくる。

滔々と流れる川はいつもとなんら変わらず、彼女の選択は彼を想うゆえの許しと不幸からの〝解放〟だったのだと願いたい。

＊＊＊

もう一冊は、父に借りた「少年と犬」
休日にお茶を淹れてゆっくり読もうと思います。

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#さよなら渓谷
#少年と犬