「町田芹ヶ谷エゴノキ縁起 きのおくのきおく きおくのおくのき」展

町田市立国際版画美術館で開催中の展示
「町田芹ヶ谷えごのき縁起 きのおくのきおく きおくのおくのき」を観てきました。
以前から何度か展示を観させていただいている現代美術家 田中彰さんの個展です。





田中さんは版画作品を中心とした制作を行っています。彼は版画を媒介として、その土地と人々や生き物たちの関わり合いについてある一定の期間継続的に観測し、その関係性の中から浮かび上がるものを作品の中に反映させていく作家さんです。
作品やプロジェクトによっては完成までに長い時間を要するものあり、その作風も繊細です。若干30歳という若手アーティストでありながら、じっくりと時の流れを待つことのできる、目先の安易な何かに振り回されることのない作家さんでもあります。
穏やかで優しい細い線の連続から成る作品たちは、まるで作家さんご本人の穏やかな風貌と、奥に潜む芯の強さが現れているかのようです。








彼の作品を観ていると、「本当に大切なことはひっそりと目立たぬように、しかし実は継続的に根を持って強く囁かれ続けるのだ」ということを思い出します。
そして前例のない道無き道を進んでいく作家さんご本人の在り方に、私自身が強く背中を押してもらえたような気持ちになるのです。

今回の展示ではワークショップ形式で田中さんの新技法による版画を体験することができました。もともとは革細工などの模様付けに使われていた電熱式のペンを版木に使用することで、彫刻刀などで彫り込むよりもさらに細く繊細な線を描くことができるのです。
当日は私たち家族が大好きな布を使う作家さんとその息子さんたち2人とともに展示を観て、その後ワークショップに参加させていただきました。





田中さんにとって大切なキーワードの一つに「焼く」という言葉があります。今回私自身も初めて電熱ペンで版木を彫らせていただき、ペン先から出る熱や木が焦げ付く香り、焼き焦げるまでの時間を実際に体感することができ、改めて田中さんの思う「焼く」について思考を巡らせることができました。「焼く」というのは何かが焼け焦げるという、目の前の物質の変化だけではなかったのです。「焼く」は五感をフルに使い込む極めて総合的な経験なのであると、音や香りなどといった紙には固着しない要素を味わいながらぼんやりと考えていました。

会場ではこの展示についての小冊子が配布されています。展覧会担当学芸員の町村さんの記録文から始まるこの冊子は、とても丁寧にまとめられていて必見です。
現代美術家 田中彰がどうやってこの展示を多くの人と共に時間をかけて作り上げていったのか、それを知って展示を改めて見ると、この先の無限の可能性に期待せずにはいられません。10年後、「あの時の期待感は当たったなあ」と一人心の中で思い出してニヤニヤしたいと思います。
今後のアーティストとしてのキャリアの中でも間違いなく重要な展示の一つであろう今回の展覧会は、2019年9月23日までです。ワークショップはこの三連休まで。展示最終の週末はまた違った企画で締めくくられるようです。お見逃しなく。
同時開催の畦地梅太郎展もボリューム満点で作家人生を振り返りながら彼の代表的なイメージである山男についてじっくりと知ることができます。美術館の周りは豊かな自然が広がる素敵な公園もあり、ゆっくりと展示をみたり散策したりしながら1日を過ごすことができる場所です。
町田市立国際版画美術館については公式ページをご参照下さい






Sho Tanaka who is my favorite Japanese contemporary artist expressing by wood block prints is running his solo exhibition and workshop at Machida City Museum of Graphic Arts. His important works are always inspired by the land, nature, food(mostly coffee), local people and their life, and he is drawing the atmosphere between the place and people. He engraves very narrow lines on the wood block.
At first, he had taken the ordinary way to engrave, but finally he found his way by heated electric pencil which is connecting with his important word ; “roasting and scorching”.
On this show, we could see his great works and join his works in specialized studio for this show. We made the little wood block print using the heated pencil.
After this event for engraving, I thought again about his Key ; “roasting and scorching”. Engraving made a little heat, smell by burning wood, a time for scorching slowly. He will be catching all things for making his art.

When I stand in front of his art pieces, I always feel power pushing my back with calm but strong arms, and I remember some important thoughts that the truth is whispered and the wasting is barking like bad dogs.

The entrance to the exhibition room, there are little guide book for this project. Machimura-san who curated this show wrote the important text recording his project in the beginning. And the introduction by museum in English is good, please check it online.


This important show will be going until 23th, Sep. 2019. Please come and enjoy his show. You can see Umetaro Azechi’s prints at the same time in the another exhibition room.

コメント

不思議な印象を感じました

Kyo 2019年09月15日

こんにちは。🤙
地元に来られていたんですね。

町田の快速急行 2019年09月15日

繊細なタッチの作品ですね。。。

みーまる 2019年09月15日

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