川沿いのお屋敷

三浦しをんさんの小説『あの家に暮らす四人の女』は、東京の杉並区にある善福寺川沿いに建つ古い洋館が舞台だ。

母屋には母と娘、そして娘の知人が2人、それに加えて親戚でもない謎の老男性が1人「守衛小屋」と呼ぶ敷地内建物に暮らしている。なぜそのような人員構成で暮らすことになったのかは本文をお読み頂くこととして、私がこの物語から感じたのは、全く別の場所、鎌倉だった。

昔私は、まさにこの本の中に登場する杉並区の善福寺川からも近いエリアで暮らしていたことがある。
だから物語に登場する場所から流れる雰囲気もサッと想像がしやすい。
にもかかわらず、鎌倉の山沿い、鎌倉宮や荏柄天神社、杉本寺などがある二階堂あたりの空気感を感じずにはいられなかった。


私たち夫婦の友達のアーティストさんのご自宅兼アトリエが鎌倉にあり、先日お邪魔させていただいたのだが、そのアトリエの隣が、この小説の舞台のような背景を持つ家だった。その隣の家は、大家さんの意向により取り壊され新しく建て直されることが決まっている。
そして取り壊される前は、4人の女性がシェアで暮らしていたというのだ。まさに「あの家に暮らす四人の女」である。


思えば杉並区の善福寺川沿いも鎌倉の滑川沿いも、
せかせかし過ぎない空気が流れているように思う。

小脇に簡単に包んだだけのひと抱えの花を持っている人、
いつ行ってもお客さんは一人いるかいないかのひっそりとした古書店、
お家のドアのような入り口を開けるとカランカランと音がする喫茶店、
大量生産はできないけれど一つ一つ丁寧に作られたパンやジャム、ケーキにクッキーが並ぶ小さなお店、

杉並にも鎌倉にもそういう静かなものが日常に染み込んだ場所がある。

『あの家に暮らす四人の女』では事件があったり、それぞれの人物の秘密が明かされたりと、山あり谷ありの時間が流れていくが、全体を通したゆったりとした空気感は損なわれることがない。


今月末まではちょっとあれこれやらなければいけないことが山積みで、さらには出張もあったりと、バタバタしがちなのだが、息抜きに、移動時間や待ち時間にこの本を開いて、しばし穏やかな時間を取り戻していた。

ハラハラドキドキなスピード感溢れる物語も疲れるし、あまりにも平坦な日々の話も飽きそうだという時に、まさに打って付けの一冊だった。












I read this japanese novel written by Shion Miura.
In this novel, the old beautiful western style house
and four women are described. And some little happenings and their life through deeply part are unfolding, but the story keeps their calm and quiet atmosphere.
At several days ago, we went to the artist's home and studio. And then, at beside their house, the old big house was there. But the house will be broken and re-built by the owner. Before that, 4 women were lived in that house! The same with this novel.
Recently we are little bit busy. But I read this book moving by train or waiting something for my job.
This story makes me calm mind and quiet heart without too much emotional condition.

In Kamakura, many old and huge house like "oyashiki" are gone, and after that, they are building something new and flashing store by the
big money, or narrow house without garden and nature. Some area already look like "New Residental Area" or "House Exhibition Area".
Many little private shops are leaving from Kamakura (of course, many private store are also doing their best now). Kamakura may be changing...
Anyway, we want to find the true love and excited something in our life.

コメント

仕事を含めた日常にぴったりの本に出合うことが出来、よかったですね。なんといっても、まりさんは、本の目利きなので、本の方から寄ってきたのかもしれませんね(笑)。

みーまる 2019年06月20日

小説の舞台地を訪問するのはまたひとつ楽しい時間を過ごせますね

Kyo 2019年06月20日

不適切なコメントを通報する

最新ブログ

感謝の気持ち
目に見える変化と見えない変化
紙コップを考える
プラスチックフリーを意識した暮らし