リチャード・ゴーマン「形情」@茅ヶ崎市美術館

リチャード・ゴーマン個展「形情」で、
改めて実物を自分自身で体感することの必要性を強く感じた。

もちろんどんなアートも、図録などの印刷物やモニター画面の写真などで観た時と、実物との間には大きな差があり、物によっては複写では全く魅力が伝わらないものもある。

現在茅ヶ崎市美術館で開催中のリチャード・ゴーマンさんによるペインティングの数々も、資料だけでは絶対にわからない素晴らしさがあった。


リチャード・ゴーマンさんの作品を最初に観たのは渋谷のヒカリエに入っている小山登美夫ギャラリーにてで、この時は二人展の形式をとり、ゴーマンさんの絵からインスピレーションを受けて描かれた伊藤彩さんの作品が共に並んでいた。ここでの展示では小さなサイズの作品が多かったのだが、茅ヶ崎市の展示ではそれよりは大きな作品ばかりが並び、サイズが大きい方が彼の表現したいことに対して、しっくりフィットしているように私は感じた。

ニール・ジョーダンさんがゴーマンさんの作品について「感情的な幾何学形」"emotional geometry"と表現している。これ以上相応しい言葉は無いのではないかと思えるほど、作品を捉え切った言葉だ。
そしてその意味は、実物を作品を目の当たりににしなければ、決して感じることは出来ない。

私が美術館に行った時には、他に3組のお客様がいらっしゃり、皆さま一様に「現代美術?」「抽象画?」という感じの会話をしながら、さーっと作品の前を素通りするかのような勢いで観て、「わかんないね」と去って行かれた。

私は年間約400〜450の展示を観ていて、現代美術ももちろん大好きだ。けれどそんな私でさえ、立ち止まることなく作品の前を通過しただけでは、そこに表現されていることが何なのか汲み取ることは困難だ。
年間1000件以上の展示を観る人たちならば、そのスピードでも8割をキャッチできるのかもしれないが、私はまだそんな達人の域ではない。
もちろん、流して観ているだけでも、これは好き、これはあんまり好みじゃないなあ、などの感想は抱くことができるし、ちらっと観ただけで「これはすごい!」と血がたぎるような心情になることも無いわけではない。けれど最初の出会いが瞬間的なものだったとしても、その後じっくり時間をかけて作品と向き合ってみたりするし、じっくり向き合った結果イマイチと思うこともあれば、第一印象がそんなに良くなかったのにじっくり観てみたらじわじわ魅力が伝わってくることもある。

今回の茅ヶ崎での個展では、ゴーマンさんはこの美術館に以前いらしたことがあり、ここの展示室で公開することを念頭に作品を制作されている。

展示室の天井から外の光が差し込む構造を思い浮かべながら描かれて、設置された作品たちは、実に自然に展示室内をコントロールし切っていた。

ゴーマンさんの描く作品は、実にカラフルな色を組み合わせ、賑やかな画面になりそうなところに、凪のような静けさも感じさせてくれる。どこまでも平穏で、観てるこちら側の心の大波を、自然と平らに調整してくれるかのような作品だ。

さらにじっくりと観ていくと、描かれた形の縁の線のゆらぎに気がつく。ここで「感情的な幾何学形」というあの表現にハッとさせられるのだ。


あくまでも極めて幾何学的なモチーフが折り重なる彼の作品は、一見すると楽しそうな明るくポップな色使いの連続から、軽やかな印象を持つかもしれない。
しかしそこに内包された芯はしっとりと重く、濡れた浜辺の砂の塊を手にしているかのようでもある。時折吹く風に表面の砂がサラサラとながれていく。しかし手の中には重みを心地よく感じ続けているのだ。


例えばとんでもなく穏やかで菩薩のような人がいたとしよう。その人が生まれてから菩薩のような人と言われるようになるまで、一体どれほどの荒波があったことだろうか。
様々なことを越え、様々なことを消化し、喜びも悲しみも愛も憎しみも全てが要素として混ざり合った上での結果、菩薩のような人になったのではなかろうか。

人の人生には、日々様々なことがあり、それら全てが自分を作る要素になっていく。
そんなことを、リチャード・ゴーマンさんの作品は教えてくれるように感じた。

「感情的な幾何学形」"emotional geometry"

彼のアーティストとしての人生の地図が、線となり色となり、一つの形となって私たちの前に表れる。


連休中に茅ヶ崎市美術館に行かれる方はぜひ、ゆったりと作品と向き合って欲しい。全ての枚数に対して時間をかけるというよりも、例えばなにか好きな色のもの、タイトルが気になったもの、なんとなくいいなーと思ったものの1枚の前で、じっくり立ち止まってみてほしい。この色を置いた時、この形を描いていた時のゴーマンさんを想像しながら。
彼は遠くアイルランドにあるシオサイと名付けられたスタジオでこの絵を描いたのだ。


茅ヶ崎市美術館
http://www.chigasaki-museum.jp/





写真撮影は和紙を使った作品のみ可能でしたが、他の作品はこの作品とは全く雰囲気の違うものです。ぜひ会場にてお楽しみ下さい。









I went to Richard Gorman's solo exhibition "KEIJO" at Chigasaki City Museum of Art.
http://www.chigasaki-museum.jp/


When I saw his work at the first time, the exhibition were made by collaborated two artist, Richard Gorman and Aya Ito at Koyama Tomio Gallery(Shibuya, Hikarie, Tokyo).
On that show, Aya Ito draw her painting inspired from Richard Gorman's small paintings.

At Chigasaki City Museum of Art, he presented his bigger paintings. He made these works for this museum exhibition room.
Chigasaki Museum of Art has some exhibition roon, and some parts of the roof are skylights.
Richard Gorman painted his new works imagining the sunlight from the top.
His installe was perfect. He controlled this room in his hand. In this exhibition room, I had got a bracing, but also calm feeling.
I like his bigger works because, in my oppinion, his feeling seems to fit the big painting than small one.

He uses some vivid colors, and the motifs are mainly combinated with geometry.
But they are not bleakly.
Neil Jordan described this as "emotional geometry".
Absolutely!

When I went to this show, some people had seen these paintings, but they were all not stopped in the exhibition room and said " I can't understand the contemporary art!".
I love art work from acient pot to contemporary art. And I go many shows(about 400〜450 exhibitions per a year), but I will not able to understand the contemporary art without stopping and looking them attentively.
Some master of art like going 1000 exhibitions per a year may be able to understand by their grance, but I can't. I usually look them slowly thinking about the artists, their stories, blush strokes, materials...and so on.
Sometimes I fall in love to the work immediately, on the other hand, I realize that the works are not suit for me or for our collection after many hours seeing or talking with artists or gallerists,

When I saw Gomman's painting in this show, I couldn't understand cleary, but I saw them one by one. After that, I realized his unique blushed line.
They are geometric line, straight and controlled by some rules. But the line contained sway.

After seeing some works, I read the word "emotional geometry".
The word gave me a start.
I absorbed into his paintings.

People have been many things in their life. And the all of them make someting in their life.
I felt these feeling about life and time from his "emotional geometry" works.

コメント

不適切なコメントを通報する

最新ブログ

一周回ってカッコいい
6種混合ワクチン🐶✈️
長井鞠子さんの『伝える極意』
Louise Lawler ルイーズ・ローラー