言葉とは不思議なもので、さっき思いついていたはずのものも時間が経つと夢のように消えてしまう。
夢なら朧げにでも思い出せるかもしれず、まだ救いようもあるだろうが、一度失われた言葉は次にいつ出てきてくれるか分からない。そして大抵、出てこない。
文字の霧が消える前にメモを取る。
しかしこれも時代の弊害でデジタルでさっとメモしただけのものは何らかの操作ミスでさっと消えてしまったりするのだ。
一瞬画面から目を離した隙に何らかの誤ったタッチが行われ、気がつけば画面は真っ白である。
何行か書いていたはずの文はあたかも「最初から存在しませんでしたよ」と、白いメモ画面が澄ましている。ふん。
そもそも自分の脳みそから捻り出したはずの文章が消えて、それを自分で取り戻せないのは一体どういうわけか。よほど一時的でどうでもいい文を書き付けていたということなのか。いやいや、そうでもない。そんなはずはない。きっと名文だったに違いない、消えてるけど。
アートも文章も不思議なもので、緻密さや濃度、密度のようなもの以外に、新鮮な勢いや熟成された発酵度を感じることがある。それは具体的な技巧の話というよりも、全体から醸し出される空気のようなものだ。
どちらが良い悪いではなく、新鮮なものにはそこにしかないトンガリだったり荒削りながらも眩しい輝きがあったりして、熟成されたものからは何をどうひっくり返しても出てこない魅力がある。一方で、発酵が進んでいるものからは時間をかけなければ決してたどり着けなかったであろう濃厚な重なりを味わうことができる。
最近読み終えたのは
稲垣えみ子さんの新刊『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)
アフロ記者の異名をもつ稲垣さんのミニマリストぶりはすでにいくつかの本を読んで存じ上げており、あの稲垣さんが新しいチャレンジとしてフランスはリヨンで短期ではあるが暮らしてみたというのだから、これは読まずにはいられなかった。
このエッセイには稲垣さんの飾らない、そして瑞々しい海外一人暮らしでの気持ちが詰め込まれている。
リヨン。実に良さそうな街だ。
この無駄に他人にぐいぐいむりやり踏み込んでこない感じも最高に良い。稲垣さんは最初、それを素っ気ないと感じたようで人々から気にしてもらえず落ち込んだようだが、私としては「これこれ!この程よい距離感でしょ私が欲してるやつ!」と読みながら夢中になった。
私の将来暮らしてみたい街リストにリヨンが追加された瞬間だった。にしてもフランス語は出来た方が良さそうだなあ。英語もままならないが。
稲垣さんはフランス語は全くわからず、英語もかなり怪しい状態で勇気を持ってひとり旅に出たとのことだった。まあ人間やるしかないとなれば、案外どうにかなるのかもしれないな。
フランスの美味しいパンとバターと
コーヒーをいれて
ポロ葱のスープを作り
よくわからないキノコをソテーしたりして
冬には雪が降って(たぶん。リヨンって降る?)
街並みが美しくて
寒いなあと思いながら頬に当たるひんやりした空気にニヤニヤして
最高である。妄想である。
リヨン、稲垣さんの本を読まなければ、気に留めなかったかもしれない。ありがとう稲垣さん。私の中では稲垣さんはすっかりリヨン親善大使ですよ。
お会いしたこともないのに無駄に親近感をもわもわと沸騰させ、それに対して訝しむウィリアム氏🐶
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Strangely enough, many good words or nice texts may vanish instantly like a dream if you doesn't take a note them.
As long as I'm just dreaming about something good because I may be able to remember it dimly, I will not remember those nice texts again, never.
I write down some texts before the fog of the letters have gone away.
But when I wrote it in my iPhone, I had failed to fix it. Immediately, my memo pad told me "blank" as if it had nothing from the beginning.
What's going on here? Those were My texts from my heart definitely...But I can't recover it...
Did I write down something of small importance?
No...I don't think so...I may be...
Those texts must have be the great literature, although those were gone...
Recently I realized some same points between arts and texts. Sometimes they express the fressness with their energy and passion speedily, it may be a little rough but it will not be an important thing as their power.
On the other hand, the works which had a long time before they came out in this world had a good fermentation.
Both of them will express their good points on their each field.
I read this essay wirtten by Emiko Inagaki who is a famous writer having big Afro-hair. Before I read her books. She finds her good style for her life with Minimalism on her clothes, living items and using electrical power.
In this newest her essay, she tried to go abroad alone although she was not good speaker in English. She went to Lyon in France, but she couldn't use the French language at all!
But, she did it. She enjoyed her trip in Lyon for 14 days! Her texts were so freshly, made me want to go there.
Good breads, Nice butter, Tasty coffee,
Soup of Polo green onions...
Cold air,Snow,Beautiful town...
Oh, I love them.
Emiko Inagaki is the goodwill ambassador of Lyon for me! Thanks a lot, Inagaki-san! I can know about Lyon by her courageous travel and her book.
It was written as "Lyon" on my list that have many place where I wanted to go.
お姉ちゃん、今日も妄想に浸っているんだね、でも、何だか幸せそうだ、、、なんて、ウィル君の顔が語っていますよ(笑)。犬の心を読む男、まるみるより。。。