古書

古道具屋の一角で、一冊のペーパーバックに出会った。

英語版のパフィンブックス(ペンギンブックスの児童書部門)から出版された
ナルニア国物語シリーズの中の一冊。

物語は日本語でも読み、映像も観たことがあり、知っている話ではあるのだが、この本の佇まいが好きで手に取った。

見れば1971年に刷られた本。
古書の状態としては悪く、背が離れそうになっていたり、中の紙が水分を含んだ後のように大きく波打っている。
けれどどうしても気になって、買ってきた。

気をつけて開かなければ紙がバラバラになってしまうかもしれないような状態だが、妙に愛着が湧いてしまい、帰宅してからも何度も手にのせて眺めた。

古書の楽しみ方は人それぞれであり、高額取引される版があったりするため、ある部分では美術作品と似た要素も感じる。著者サイン本や絶版本の価値を味わう方も古書マニアと呼ばれる人々の中には多いのだろう。

私自身は古書が好きではあるが、そこまでのコレクターのような要素はなく、ただ読む上での楽しみの一つとして古書店を覗いている、単なる読書好きな人間だ。

けれどふとした偶然でこの本に出会った。
もう知っている内容の物語で、改めて読むにしてももう少し扱いやすい本の状態のものがいくらでも販売されている内容のもの。

もしかしたら私と古書のつながりはこの本からスタートするのかもしれないと、そんな予感がした。

それは私にとってはアートに接するときの感覚と極めて似ている。
今までよりも古書店に行った時の楽しみが増えそうな予感だ。

古書に関して、私と同じような買い方をする人はあまりいないかもしれないけれど、今この瞬間に「あ、面白いかも」と思った直感を大切に育ててみたい。

I found this old used book.
I had read this story about Narnia written by C.S.Lewis translated in Japanese and seen some movies about these series of Narnia (it's one of my favorite fantastic story).
So I had known about the story. But I was inclined in the book. I bought it, after I came back home I thought about my feeling with the book in my hand over and over...
The condition of this old book is not good, preferably bad...but I love it for reasons I can't understand.

Some of the used books have dealings with high price for their scarcity value.
But this book is Not that. Papers are undulating, fading and turning dark brown, the spine of the book is damaged.

But I felt that I might find my important measure about used books through this old and bad condition book.

It's similar to my art collection.
That is not the same as other many people's standards, but I can find the huge interest in those
things on my own way. I'll trust my intuition.