茅ヶ崎市美術館にて小原古邨展を観てきました。
開館20周年を迎えた茅ヶ崎市美術館では
今年1年間、版画を紹介する企画で様々な展覧会が開催されており、
今回は、茅ヶ崎市美術館のある土地に深い繋がりのある原安三郎さんのコレクションから小原古邨作品を紹介するというもの。
小原古邨作品が日本国内で、しかも一人のコレクターの所蔵品としてまとまった形で紹介されるのは、とても珍しいことのようで、平日にもかかわらず、たくさんの鑑賞者で会場内が混雑していたのには正直驚きました。
日本画とか浮世絵とか、仏像以外の日本にまつわる美術展でこんなに人が集まるなんて、他だと伊藤若冲展くらいではないでしょうか。
しかもなんと、今回、ほぼ全ての作品の撮影が可能。
鑑賞にいらした皆様は思い思いに、お気に入りの作品を見つけては記念に撮影していらっしゃる様子でした。
さて、小原古邨は1877年、明治時代に金沢に生まれ、花鳥画を得意とした作家です。
生前は海外での作品販売に際して人気が高かったとか。
浮世絵や版画は、刷り師がどんな技量なのかによって、作品の結果が大きく変わるなあというのが、私の感想なのですが、
やはり同じ版元でも時代が変われば、雰囲気も変わり、おそらく職人さんたちも代替わりしていくのでしょう。小原古邨の作品を観ていると、小さい頃に母に見せてもらった古い絵本を思い起こしました。
それは母が小さかった頃に読んでいて、大切にしていた絵本だったと思うのですが、今のように紙にニス引きがされているわけではないので、触り心地もざらつきがあり、紙の色も漂白され切った真っ白なものではなく、クラフト紙に近い色味だったりします。
子供の頃に見たものなので、価値とか歴史とか、そんなものは理解せず、なんとなく見ていたはずなのですが、今でも記憶に残るような魅力のあった絵本たちでした。
小原作品は、その刷りの雰囲気に、似ているのです。
絵の輪郭、柔らかな色調、描写された動物たちや植物の動きなど。
浮世絵版画でありながら、時代の異なる歌川広重や葛飾北斎などのそれらとは全く違った、
現代の私たちにもとても近しい雰囲気を感じさせる作品が多かったように思います。
人間が画面に登場していないにもかかわらず、そのすぐ隣にある人々の日常、生活を強く感じさせる小原古邨の作品は、コレクター出会った原安三郎の目にはどう映ったのでしょうか。
今回感じたような小原古邨の魅力は、やはり数点を観ただけではなかなかわかりづらく、これだけまとまった形で鑑賞できたからこその気付きだったのだろうと思います。
その点数、前期後期の展示替えをトータルすると240点!すごい数ですね。
明治の後は大正から昭和にかけて今度は新版画と呼ばれる浮世絵の人々が登場し、ここへ向かう過程である明治の版画という位置として観てもまた面白いものがありました。
版画の歴史も時代を追っていくと奥が深く面白いです。
ということでこちらは少し前に観に行っていたものだったのですが
アート鑑賞
2018年の246件目、10月の16件目でした。
I went to the exhibition of "Ohara Koson, Hara Yasusaburo Collection" at Chigasaki City Museum of Art.
Koson was a wood printing worker who was active during the early 20th century in Japan.
His works were good sold at abroad, and Hara Yasusaburo who was a collector of Ukiyoe had collected Koson's works too.
His beautiful animals and flowers reminded me some old picture books which were shown by my mother.
どれも素敵な作品ばかりですね。また、金沢にゆかりのある方なのですね。。。