吉田克朗《650ワットと60ワット》

埼玉県立近代美術館の常設展
MOMAS コレクションには
現在、吉田克朗の《650ワットと60ワット》(1970年, コード・電球, サイズ可変) が展示されています。
作家は既に1999年に亡くなっていますが、埼玉県立近代美術館でこの作品を亡くなる2年前に展示しており、作家本人の手により展示された時の、展示風景写真も残されています。

今回はその展示を再現したもので、加えて
作家本人が書き記していた「制作ノート」の一部が特別出展として公開されていました。

今年、ユミコチバアソシエイツで開催された吉田克朗作品を紹介する展示では、《Cut-off》のシリーズが何点が並び、私もその展示を拝見していたのですが、
今回の埼玉県立近代美術館の常設展では「cut-off」に関したメモのページも展示されていました。

吉田克朗が、世界と自分との間に横たわる様々な疑問を、物質を通して問い続けた作品群。
制作ノートでは、作品とは何か、芸術とはなにかについてのメモ書きも見られ、何をもってして作品足りうるのかについて考察を重ねていたことも読み取れます。

誰かが「これは作品である」と言うことによって起きる出来事について
"見せる前に接触させること"というタイトルで長いメモを残しており、


“そして、その「物」は何ら観衆に与えるものもなく「芸術」という言葉を与える」"

と書き記した上で、論考し、

"そして多くの ほとんど多くの「物」が作品と化す。"

とも書き記しています。


また「作品について」という1970年12月2日の制作ノートでは

"作品は読むのではない、見るのだ、あくまでも外にあるものとして見るのだ。"

"作品の内部に問があるのではなく、作品の前に問は投げ出されている。もちろん作品自身が意味をもつものではなく、作品の前に意味があるのであり、それを拾うのは人間でしかない。"


アートフェアなど限定された期間に
多過ぎる数の現代アート作品を観ると、
街中を歩いていて目につく大きめの柱や放置された物体、壊れた電球などですら、
もう目に入る物、なんでもかんでもがアートに見えてくる気がする!という現象が起きることがありました。

越後妻有アートトリエンナーレを巡っていても、道々聞こえてくるほかの鑑賞者たちの会話に、そんなセリフもちらほらと。

吉田の"作品の前に問は投げ出されている"という言葉が、私は特に好きで、"それを拾うのは人間でしかない"という言葉も、何度も心の中で繰り返してしまいました。

何をどう見るか

ものの見方というのは

その人の、その時の自分の心の在り方そのものである、とも言えるかもしれませんね。

アートを目の前にして自分自身の心を浮き彫りにする。
作品は鑑賞者それぞれに、ある特定の心の動きを呼び覚ますキッカケ「でもあり」、キッカケ「でしかない」のでしょう。

極めて曖昧であり、
なんだかよく分からないこともありますし、
むしろその「なんだかよく分からない」という混乱した感想が正解である場合もあるでしょう。人は、これまでの自分の中にあるストックから遠く離れたものに接したとき、たぶん、なんだか訳が分からない、と思うような気がします。

全く新しい何か、というのはこの「なんだか分からない」ところから生まれてくるのでしょう。
なぜなら「なんだか分かるもの」という判断は、既にどこかで見たことがあるような何かを感じ取っている証拠だからです。

なんだかよくわからない、けどなんだか面白い気がする。

そんなものと出会えるのが現代アートの楽しみのひとつでもあります。

自分一人では開けられなかったドアを
作品が開けてくれる感じ。

吉田克朗の《650ワットと60ワット》は
マルセル・デュシャンのレディメイドへの問いかけともまた少し違う、
ありふれた物を使った作品と説明してしまうのもやや違和感を感じるほどに、もっともっと根源的な問いを感じた作品でした。


アート鑑賞
今回は
2018年の216件目
9月の53件目
でした。


埼玉県立近代美術館には
屋外にも彫刻展示などがあり、周りに広い公園もあります。春は桜が綺麗な場所。
そしてこれからは涼しくなるのでゆったり散策もできるシーズンですね🍁



I went to The Museum of Modern Art, Saitama to see some exhibitions.
I saw Katsuro Yoshida's work 《650 watt and 60 watt》(1970) at this museum's collection room.
It's made by cord and electric bulb.
I could see his work and his notes about his thoughts and progress of works.
I saw his works at Yumiko Chiba Associates in this spring.
He wrote many important words by hand writing on papers. I liked his some words about art and works.
What is art? If someone say "This is an art work", all materials will be "art" and "works" in an instant! Is it true?!
He thought about these questions from many point of views.
We may find something new in our un intelligible things. Because the things which we can understand now contain some usually elements that we have seen before. I want to meet the
brand new interesting views!!





コメント

物を通じて、自分の心と対話すること、、、こそが、現代アートの入り口ではないか、とこの頃、つくづく思います。心を空にして、眺めてみると、いつしか、何かが。。。

みーまる 2018年09月27日

芸術の秋にふさわしいコメントが増えていいですね

Kyo 2018年09月27日

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