「名作誕生」展と伊藤若冲関連本読書

ゴールデンウィークおすすめの展覧会の一つが

これ

「名作誕生 つながる日本美術」

場所は東京国立博物館 平成館です。






今回の展覧会は
「創刊記念『國華』130周年・朝日新聞140周年」の特別展。

『國華』は今も刊行されている雑誌の中で日本で最も古い美術誌です。
130周年の記念で今も続いている、っていうことだけでも、とんでもないことですね。
ちなみに私の出身地、秋田が誇る美術史学者、河野元昭先生は、この『國華』で主幹を務めていらしたこともあったそうで。私の初めての音声ガイドのお仕事で収録をご一緒させていただいたのが、まさかの、その河野先生でして。わなわな😱
とんでもなくすごい先生なのに、大変気さくにお話くださる方で、ほんとにステキな先生なんです。いつかまたどこかでお会いできたらいいなあ。
それまでにもっと精進せねば!

さて

今回の「名作誕生 つながる日本美術」展ですが、
日本美術史の流れと、それぞれの関係性、影響をどう受けていたのかなどが、わかりやすくキュレーションされています。
時代も広く扱われ、奈良、平安の頃から、明治、大正の作品まで、
そして作品が生まれるきっかけや影響を与えたであろう大陸から入ってきた作品なども合わせて、
幅広く堪能することができます。

国宝が並ぶ展覧会と喧伝すると、人がどさどさ押し寄せるイメージがありますが、
今回ももちろん、たくさんの国宝、そして重文など
貴重な作品がわんさか展示されております。

にもかかわらず、
私が観に行ったら初日は
平日だったためか、金曜の夕方以降という時間帯だったためか、混雑もなく、大変観やすい状態でした。
これはお得!

国宝も心ゆくまでじっくりと観ることができました。


(もはや今頃は大型連休ということで混雑しているのかもしれませんが、、、)


中でも注目したのは
伊藤若冲。
今回、若冲の画業の修練の様子がわかる
3幅が並べられているのです。

まず元となった《鳴鶴図》(重要文化財)、文正の作品で現在は京都にある相国寺の所蔵です。
この相国寺、若冲とは深い関わりのあるお寺。
若冲は、このお寺にあった絵を模写して学んだと言われており、のちに数々の重要な作品を相国寺に納めてもいます。

この
《鳴鶴図》
と並べられているのが
もちろん若冲の《白鶴図》

さらに同じ《鳴鶴図》を写し描いたと思われる
そっくりな作品《波濤飛鶴図》も並べられています。こちらは狩野探幽の作品で、現在は京都国立博物館の所蔵です。


『異能の画家 伊藤若冲』(新潮社)(狩野博幸・森村泰昌 ほか 著)
の中にもこの3作品は並べて図版ありで解説されていたのですが、
そういう資料内で考察されるような比較を、今なら展示室で、まさにこの実物で、並べて鑑賞しながら見比べることができるんです。
模写をしていながらも、それぞれの画風がしっかり現れていて、とても面白いです。じっくり右へ左へと何度も往復しながら見入ってしまいました。


若冲で言うならば他にも
どんな若冲本にも必ずと言っていいほど出てくる
《仙人掌群鶏図襖》(重要文化財)大阪の西福寺の所蔵で6面の襖なのですが、今回はサボテンが描かれた面のみの展示。
(この裏面もとても有名な作品)
他にも画風をわかりやすく見比べながら理解できるような展示も工夫されていました。

この展覧会、挙げていけばきりのないほどの
名品ばかり。
そりゃそうか、なにせタイトルが「名作誕生」ですからね。

もはやそのレベルは
長蛇の入場待ち時間記録を打ち立ててきた数々の展覧会に匹敵するものだと思います。

何度も観ているけれど
長谷川等伯の《松林図屏風》(国宝)(東京国立博物館所蔵)は、やっぱり好きだなあ。
しみじみと、いいわあ。
決して派手な画面ではないのに、静かな中に引きつける魅力を奥深く備えた作品なんですよね。


さてこの展示も日本美術の展示あるあるの例に漏れず、
前期と後期で展示替えがあります。
前期はゴールデンウィークあたりまでだったと思うので、前期と後期の両方観たい!という方はお急ぎください。

詳しい展示スケジュールについては公式サイトをチェックして、お見逃しのないよう・・・

東京国立博物館
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1889

私は後期も行きたいなあと思っています💕







そして今回の展示を観る前後に読んでみた本がいろいろとありましたので
まとめてご紹介。






まずは先ほども触れました
『異能の画家 伊藤若冲』
ざっくりと伊藤若冲について知るのに良い本でした。様々なエピソードも面白く、カラーの図版も豊富なので楽しく学ぶことができます。
ちなみに様々な名画にも変身してセルフポートレートを撮影する作品スタイルで有名な森村泰昌さんも登場していて、
若冲の作品の中で、演じてみたい作品についてもお話くださっています。これかあ。やってほしい。ぜひみたい。
森村泰昌さん、もしやもう変身済みですか?まだでしたら今年の個展に勝手に期待してしまいます。
森村さんの作品は今年もいくつかプリントと動画を拝見しているのですが、本当にどれもこれも強烈で、あれもこれも未だに思い出すことができる、数々の他の作品の記憶の奥に埋もれてしまうことの出来ないインパクトなんです。これで伊藤若冲編も観てしまったら、夢でうなされるかもな😅


続いて若冲といえば
プライスコレクション。

『若冲になったアメリカ人 ジョー・D・プライス物語』(小学館)

日本画から現代アートまで幅広く展覧会企画監修をされている山下裕ニ先生がインタビュアーとなり、ジョー・D・プライスさんにご自身のコレクションについて語っていただいた本。

プライスさんとコレクションについて最も詳しく知ることができるのがこの本かなという気がします。
日本美術に出会うきっかけや、ご家族について、
そしてコレクションしていく上での様々な苦労など、
大変細かなエピソードまで書かれていて、
プライスさんにお会いしてみたくなる本でした。
アメリカで、日本美術をコレクションする、そしてそれを展示するということに関し、まさに文字通り孤軍奮闘されていたプライスさん。美術を専門とする人たちからでさえも、なかなか、アメリカの人たちからは理解を得られないこともあったようです。

そんなプライスさんは日本人女性と結婚され、アメリカで暮らしながら、日本美術を広く伝える役割を担い、活動されているわけですが
東日本大震災の時には、特別展を企画。
その時の図録が我が家にありました。

『若冲が来てくれました プライスコレクション 江戸絵画の美と生命』

この展覧会がどのようにして行われることになったのかについても、プライスさんご夫婦と辻惟雄先生や学芸員の内山淳一さんとでのインタビューの形で書き記されています。

私自身は去年、名古屋で開催されていた長沢芦雪の展覧会でプライスコレクションの作品《白象黒牛図屏風》を観る機会がありましたが、
その時も「これを個人で持ってるのかあ。」と、たった1作品だけでも、ポカーンとしてしまうほどだったんです。
日本に来て、古美術商のところへ行って、これ買いますって言って、、、遠い異国の地で、お買い物したわけだよなあって。
今の時代ならまだしも。



そんなこんなで読み進めながら古本屋さんを見て回っていたら
『SIGHT ART vol.2 若冲は絵で世界を救いたかった』(ロッキング・オン)
という雑誌バックナンバーを発見しました。


この雑誌すごく面白い!!
今はもう発刊してないのかな。

この雑誌の編集・発行人である渋谷陽一さんが
若冲研究では欠かすことのできないお二人、小林忠さんと辻惟雄さんにロングインタビュー。
それらが豊富なカラー図版とともに掲載されていて、読んでいてますます若冲に興味が湧く本です。

雑誌バックナンバーって、手に入らないものも多いので、偶然とはいえ良い本に巡り会えてラッキー🤞

そして若冲を現代社会においての人気者に押し上げるきっかけを作ったというのが
辻惟雄さんの著書『奇想の系譜』。
こちらは文庫で購入して、最近の移動中にはいつもカバンに入れて少しずつ読み進めているもの。
また読み終えたら書きますね。





というわけで
長くなってしまいましたが

アート鑑賞
2018年の99件目、4月の22件目
読書
2018年の48冊目、49冊目、62冊目、63冊目
4月の7冊目、8冊目、21冊目、22冊目
でした。






One of my recommended exhibition in this Japanese holidays is this ↓
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1889
Japanese art exhibition.
In this exhibition, they presented many works from Nara era to Meiji era.
Jyakuchu's famous works and Tohaku's folding screen which is a national treasure were splendid works!

And I read some books about these Japanese famous art works.
There were some interesting books about Price Collection. Mr.Joe Price is wonderful collector. I want to see him and his collections which he has kept in his private show room. According to this book, it seems that those archtects are great room too!





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コメント

仕事を通じての、著名な先生との出会いは、とっても良い経験になったようですね。そして、またご縁があって、ご一緒できるといいですね。また、伊藤若冲は、絵も素晴らしいですが、その人生も、正に、小説や物語のようで、すごいですよね。。。

まるみる 2018年05月01日

これは面白そうですね。
GWは盛況になりそうですね。

Kyo 2018年05月01日

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