山種美術館にて川合玉堂展を鑑賞しました。
没後60年を記念した回顧展ということもあり、初期から晩年にいたるまでの作品や玉堂が親しんだゆかりの人々との交流など玉堂の素顔と人物像が垣間見られる、見ごたえのある展示内容でした。
自然を愛し、自然と共に生きてきた川合玉堂の曇りのないまなざしは、まっすぐに情景を捉え、奥行きのある豊かな作品に落とし込まれています。その研ぎ澄まされた感性から描かれる、大らかな温かさが川合玉堂の魅力なのだと思います。
自然の草木の織りなす山野の姿、滔々と流れる水、湿度、気候、そのすべてがいきいきと描かれ、牧歌的な原風景に心がやすらぎます。耳をすませばせせらぎの音、鳥のさえずりが聴こえ、木々や土の香りがしてくるようです。
霞かかる山間の素朴な風景と人々の日常は、淡く深く玉堂の手によってより美しい営みとして永遠に収められています。この朝もやの濃霧や田圃の匂い…こういうものは、この地で育った人にしか描けないものだと思いました。
いわば自分を育ててくれる大地、同じときを生きてきた地への愛着があり、つぶさに観察してきた身近なものたちへの温かいまなざしがあります。
玉堂の描く風景は、かつての日本の姿なのかもしれませんが、少なくとも私が今まで見てきた、朝陽のさす山間、日暮れの田、野生の花鳥、牧歌的な風景、どこまでも広がる田圃…子供の頃にみた故郷の何気ない日常と重なり合います。そこに宿る、自然界の采配で動くのどかでゆったりとしたときの流れかたは今も昔も変わらないものなのかもしれません。
長らく目にしていなかった日本の原風景。
そこには当然、自然のざわめきと静寂があり、秩序があるのでした。
わたしはこういうものを見なくては、自分のものさしの手入れができないのだと実感するのでした。
そしてあとから拵えられた、自然ではないものに目が慣れてしまわぬように、
いつでもありのままの自然界の姿をつぶさに観察して、その豊かなきらめきに心が呼応する人間でいたいものです。
川合玉堂の温かい人柄に、心癒される回顧展でした。
※下の画像は撮影許可のでている作品です。
「川合玉堂ー四季・人々・自然ー展 川合玉堂《鵜飼》山種美術館所蔵」
この和菓子は「里の秋」
作品展にちなみ川合玉堂の作品《渓雨紅樹》をイメージして老舗菓匠「菊家」さんが特別に作っているものだそうです。
紅葉した山里の情景と水車から水が流れる様子が巧みに表現されています。餡は黒糖風味大島あん。お抹茶との相性もよく、とっても美味しかったです。
併設されているcafe椿でいただきました。
他にも作品にちなんだ和菓子が目に鮮やかでカフェメニューをじっくり見てしまいました。
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