さて
川合玉堂展の続きです。
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《雪志末久湖畔》
(1942年/絹本・墨画淡彩/山種美術館所蔵)
雪深い湖畔の様子で、
湖の上には小船と人が描かれているのですが
左からふわりと粉雪が風で舞っています。
この雪煙の雰囲気は、まさに日本の冬の景色。
遠くから来る冷たい風の音まで聞こえそうです。
続いてはこちら
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《水声雨声》
(1951年/絹本・墨画淡彩/山種美術館所蔵)
水車が大好きだった川合玉堂。晩年にはなんと自宅に水車を作ってしまったんですって!
そこまでの水車愛。もちろん作品にも、水車は何度も何度も登場します。
何を隠そう私も、流れる水が大好きでございまして、
家を好き勝手に設計して良いならば滝でも流すなり滝のそばに家を建てるなりしようかと思うほどなのです。なので川合玉堂の水車愛については、なんだか妙に共感してしまいます。
わかりますわかります、その気持ち😍って😅
川合玉堂の作品には日本の美しい景色と、
そこに鳥などの動物や、人がぽつりぽつりと描きこまれているものが多いですが、
何点も観ていくと、そのバランスの素晴らしさに感嘆します。
風景の中に、ちらっと人がいるのですが、
それが全くイヤミじゃなく、自然の中に溶け込んでいて、かといって自然の一部になって埋もれているわけでもない。
その「主張しすぎない主張」でしっかりと存在している人や動物。
まるで「そこにその人がいるのは当たり前でしょ、描かないほうが不自然でしょ」とでも言われているかのようです。
例えば街中の写真撮影をする時、最近はいろんな都合でなるべく人が映らないように撮影したり、後から加工して人をデジタル処理で消したりもしていますが、
渋谷の写真には人がミッシリ居るのが当たり前で、
人が少ないと妙ではないか?とか。 その感覚に近いんです。
山、道、近くに畑がある。それは人が歩くでしょ普通に、っていうような。
全くわざとらしさを感じさせないのに
確実に描きこんで存在させてくる。
川合玉堂は、眼に映る全てを愛おしく思って描いていたのかなあと感じた瞬間でした。
最後もう一枚
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《烟雨》
(1941年頃/絹本・彩色/山種美術館所蔵)
上への登りたってくる湿度、靄。さーっという細かい雨の音が聞こえてきそうです。
派手なものでインパクトを残すというのは、ある意味もしかしたら簡単なのかもしれませんが、
こういった淡く、そしてえぐるような強さのないもので、じんわりと観る人の心の奥深くに語りかけるというのは、なかなか出会えないよなあと、つくづく思うのでした。
心がざわざわしてしまったり
とげとげしてしまったり
疲れてへとへとになってしまったりした日に
癒してくれるのは、川合玉堂のような絵な気がします。
この日は展示室ではギャラリートークもあり。
若い頃の作品
《鵜飼》の前でギャラリートークを行なっている山﨑妙子館長。↓
↑写真右側の作品↑
《鵜飼》
(1895年/絹本・彩色/山種美術館所蔵)
当日はこんな感じで
山﨑家と川合玉堂との間にあったエピソードも交えながら、館長自らが丁寧に解説して下さいました。
音声ガイドも借りましたよ。ナレーションは山種美術館の音声ガイドでは毎度お馴染み、安井邦彦さん。
本当に美しいナレーション。私の目標です。
ぜひ音声ガイドもご利用ください!
特別内覧会でしたので
展覧会に合わせて青山の老舗菓匠「菊家」さんに特別オーダーで作ったという5種類の和菓子の試食もありました。
私は「千寿」をいただいてみましたよ。
いつ食べても美味しい「菊家」さんの特製和菓子。
しっとりと上品なお味でした。
山種美術館内のCafe椿で注文することができます。
それぞれ、作品からイメージして作られているんですよ。毎回、今度はどんな和菓子かなあと、こちらも楽しみの一つなんです。
ということですっかり長くなってしまいましたが
山種美術館での「没後60年記念 川合玉堂ー四季・人々・自然ー」展は始まったばかり。
前期後期と一部展示替えもあります。
詳しくは公式サイトでご確認下さい。
山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/
アート鑑賞
2017年の71件目
10月の17件目
でした🖼
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玉堂は、どの作品も素晴らしいですね。。。