「怖い絵」展内覧会レポその1@上野の森美術館

10月7日から上野の森美術館で開催の
「怖い絵」展の、開催前に行われた内覧会にお招きいただき、行ってきました。


この展覧会は一般のお客様は展示の撮影は不可なのですが、今回は内覧会ということで、主催者側からの特別な許可を得て撮影、掲載しております。




そんなわけでいつもよりも写真多めのアートレポです。





今回の展覧会のタイトル「怖い絵」

どこかで見かけたような、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は作家でありドイツ文学者でもある中野京子さんが、このタイトルでたくさんの著書を出していらっしゃるのです。わたしも読んだことがあり、とても面白いシリーズ。超メジャーな作品から、こんなのもあるのか!というものまで、絵の背景に迫りながら、端的にわかりやすく解説されたシリーズで、普段なら読書は苦手だなと思っている方や、絵って何を見てもよくわからないし美術館って退屈と思っている方でも、楽しめそうだなと思える内容盛りだくさんの本なのです。

今回の展覧会は中野京子さんが特別監修。

絵の背景を知った上で観ると、さらにそこからいろんなことが見えてきたり、感じられたりするので、面白さが何倍にも広がると思います。
今回の展覧会では、それをしっかりと感じ取ることができ、展覧会会場を後にする時には、今回観なかった他の絵についても、知った上で楽しむのもいいなあという気持ちになるのではと思いました。





さて

あれこれ文字にしていくよりも写真を交えながらにしましょうか。






今回の展覧会の目玉作品は
展覧会告知にも使われています、この









《レディ・ジェーン・グレイの処刑》
ポール・ドラローシュ作
(1833年製作/カンヴァスに油彩/ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵)

でしょう。って人が多いですね。
内覧会でこれだけの報道関係者が詰めかけているのは、私は初めてかも。
それだけ、今回の展覧会、各所から注目され期待度が高いということですね。

人の波がかろうじて去った頃を見計らい、どうにかもう一枚撮ったのが2枚目でした。

ジェーン・グレイは実はイングランドの初の女王。でもその即位していた日数はわずか9日。半年後にはこの絵の結末となります。
ジェーン・グレイが処刑されたのは彼女が16歳の時、1554年でした。
それから約300年の時を経て、巨大なカンヴァスに描かれた《レディ・ジェーン・グレイの処刑》


絵の向かって左には侍女が二人描かれ、
後ろ向きに泣き崩れていたり、放心してしまったりしています。

今は歴史を記録する手段として写真や映像機材がありますが、それらがなかった頃は、絵になり、記録の文書になり、時に口伝えで、後世へと残されてきたのでしょう。
絵になるとやはり、写真などとは違い、様々な憶測や脚色も加わるかもしれませんが、それがまた、描いた作家や、当時の人々の心に、いかに衝撃を与えたかを物語ることもあるのかなとも思いました。





《レディ・ジェーン・グレイの処刑》だけでかなり長くなってしまいましたが、
本当に素晴らしい作品です。今回初来日の作品とのこと。展覧会の目玉と宣伝された作品に、???と思うことも何度かあったここ最近でしたが、
これは紛れもなく超目玉。じっくりご覧いただきたい作品でした。額装も素晴らしいです。





さて

他にもメジャーな作品で、資料書籍やネットでしか観たことがなかったものの実物に出会え、わたくし大興奮。


たとえば





《オーブリー・ピアズリーによる『サロメ』のための挿絵(ポートフォリオ)》
オーブリー・ピアズリー作
から2点。
向かって右側が
《踊り手の褒美》
オーブリー・ピアズリー作
(1894年製作1906年出版/紙にラインブロック/個人蔵)
向かって左側が
《章末飾り》
オーブリー・ピアズリー作
(1894年製作1906年出版/紙にラインブロック/個人蔵)




特にこの右側の
《踊り手の褒美》は作品として知ってはいたので
これが実物の版画かあ!と。
繊細に表現されて、画面にはかなり細い線がたくさんあるはずなのに、ごちゃごちゃせず、全く無駄のないすっきとした美しさです。凛とした雰囲気も感じられます。






他にもこちら



《夢魔》
ヘンリー・フューズリ作
(1800-10年頃製作/カンヴァスに油彩/ヴァッサー大学、フランシス・リーマン・ロブ・アート・センター所蔵)


あれ?これって小さい作品だったの?!と驚きながら解説を読むと、どうやらこちらは、本来の作品を小型化して作られたものだとか。
とはいえ模写作品ではなく、本人の手によるミニチュア化です。


この作品、本人が小さいバージョンを作るだけのことがあって、本当に人気作品だった様子。

展示室には、その人気を裏付けるような
パロディやオマージュ作品の展示も並びます。






《夢魔(フューズリの原画による)エラズマス・ダーウィン『植物の愛』(1799年刊)挿絵》
トマス・ハロウェイ作
(1791年/紙にエングレーヴィング/個人蔵)







《スマラ /シャルル・ノディエ『短編小説集』(1846年刊)挿絵》
トニ・ジョアノ作
(1845年製作/紙にエッ チング/個人蔵)



元になったヘンリー・フューズリの絵が、いかに多くの人の心に衝撃的だったかことか、想像が膨らみますね。


とここで、
写真枚数オーバー。
1記事に写真が6枚しか載せられないので
その2に続きまーす。



「怖い絵」
上野の森美術館にて本日から開催
美術館公式サイト↓
http://www.ueno-mori.org/

コメント

素敵な絵ばかりですね

Kyo 2017年10月08日

実は自分はこういう絵にも惹かれるところがあります。
古来西洋画はキリスト教の影響を受けたものが多くその時代の生活ぶりを想像することができますし、想像することが楽しくなります

Kyo 2017年10月07日

あまり真剣に見ると、夜にうなされてしまうかも、、、です(^0^)。ほら、まりさん、暗い部屋では、後ろに気をつけて、何か黒いものが、、、なんとウィルさんでした(^0^)。

ま-みる 2017年10月07日

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