『ラン』

森絵都さんの小説
『ラン』(理論社)

ネットにあったブックレビューを読んだら気になったので。

読み終えました。

おもしろかったー
久々に一気読み


物語は
13歳で両親と弟を、一度に事故で亡くし、
親戚の叔母さんに育てられ
現在22歳、パートで働く環(たまき)という女性が主人公。

ある時、自転車屋さんからもらった
ロードバイクで走っていたら
偶然にもこの世とあの世を繋ぐ道に入ってしまい、うっかり冥界へ。
そこでは9年前に突然亡くなったはずの家族が、昔のままの家で暮らしていた。

生きている人、現実に嫌気がさし、
どんどん冥界に通うようになる環。

でもいつしか次第に、
現実と向き合うようになっていきます。


自分の過去と、家族との再会を通して
少しずつ分かれていく作業。
それと同時に、いまを生きる力強さを身につけていく作業。

過去は、忘れることはないけれど
きちんと気持ちの中で、お別れしていかないと
妙なところに引っかかりができて、もやもやしたまま、解決できなかったりします。

わたしがもし、
環みたいに、冥界に行く道を知ってしまったら
どうかなあ、ってつい、考えてしまいました。

何年か前のわたしなら
お父さんに会って、言いたいことがたくさんあった気がしますが、
今は、改めて考えてみたら、そんなに無いかな、っていう気分です。

なんていうか、いい意味で
過去は過去だったなあ
っていう感覚。
自己満足のために相手に謝っても、とも思ったり。
お父さんの今が満たされて幸せなら、それはそれでいいわけだし。
だから私だけの感情で考えるなら、
会えたら会えたで、まあ
「最近どう?」
くらいの感じかもなあ。

でも、そう思えるようになるまで
10年以上かかったわけだけれど。

過去を消化するスピードは
早ければいいってものでも
遅いからどうってものでもなくて
それぞれに適した時間っていうのがあって、
消化できるタイミングがきたら
「あ、消化したね」ってわかる。
でも実際にその時がこないと、わからない。

何年か前にこの『ラン』を読んでいたら
きっと今とは違った感想だったろうなあ


久々に
いい小説を読んで
いい読後感にほっこりです。













そんなこんなで


2016年の56冊目
9月の6冊目でした。



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