ジョルジョ・デ・キリコ展その2

形而上絵画の巨匠
ジョルジョ・デ・キリコはどんなアーティストだったのか。




今回展示を観て
ジョルジョ・デ・キリコが大好きになりました。


彼はヴェネツィアを「きわめて形而上的な都市」として生涯愛していたそうです。

そして彼の創作活動への情熱と愛と、同様にとても大切になさっていたのが
奥様のイザベッラ・ファー。

彼女をモデルにした絵もあったり

彼女と自分を並べたダブルポートレート(二重肖像画)もあったり。

デ・キリコは妻イザベッラのことを
「私の生涯で出会うことのできた、もっとも聡明な人物」
と述べています。


さらに89歳になったデ・キリコへのインタビュー映像も観ることができたのですが

彼にとって描くことを含めた全ての人生が
とてもシンプルで、普通で、幸せであることがわかります。

ジョルジョ・デ・キリコの作品の強さの秘密をインタビュアーは必死に探ろうとしていましたが、
シンプルで、普通で、幸せなこと
それこそが強さの秘密なのだと私は感じました。

そのインタビュー映像は約16分のもので
小さめの画面で、展示の最後の部屋にあるのですが
ジョルジョ・デ・キリコの素敵な人間性を感じられるので、ぜひぜひ展示に行ったら観て欲しいなあと思います。

なにか突飛なキーワードを引き出したいインタビュアからすれば
インタビュア泣かせな感じもしますが
これこそが真理なんだなという感じです。


作品のタイトルに神話の神の名前が付けられたり
マネキンが何人も登場したり。

そういうことも、デ・キリコいわく、
名前には意味がなかったり、
マネキンはただそこにあるだけ、いるだけ、
だったり。

作曲家で大学時代の恩師の近藤譲先生が
ご自身の作品につけたタイトルについて質問された時に
特に意味はありません
と答え、質問者になかなか納得してもらえなかったというお話をされていたことがありましたが、まさにそんな感じ。
作家本人がそう言ってるんだから、もう他にどんな分析もかけようがないんです。
作家が、意味はない、って言ってるのに、
いやいや、これには心理的にこんな意図があって、あーだこーだと他人が推測するのは、ナンセンス、というわけですね。

そういう意味では
こうしてインタビューがとれる、その映像や記録が残っている、現代アーティストは、
本当に貴重だし、作家本人の話を聞く機会があればどんどん聞いたり読んだりしたいなあと、切に思うのでした。


シンプルで幸せであることが
強さを生み出す。



絵画って現代に近づくほど
ごちゃっとしててよくわかんないなあ
という先入観を持っている方も多いかもしれませんが(わたしも昔はそうだったし)

実は最も、心のあり方をダイレクトに表現した結果で、
複雑なように見えて実は極めてシンプルだったりするのかもしれません。




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