タイミング『ボクの穴、彼の穴』

何かを言いだすタイミングって難しいことがありますよね。
本当は言いたいのに、なかなか言い出せず、
言いだせないまま、時間が過ぎてしまって。
結果的にもっと早く言えばよかったんだよなっていうこととか。

『ボクの穴、彼の穴』(千倉書房)
デヴィッド・カリ&セルジュ・ブロックが書いた絵本を
松尾スズキさんが翻訳されたものです。

この話にも、言い出すタイミングを計りすぎてしまう二人が出てきます。

とある戦争中に、二人の兵士が二つの穴にそれぞれ隠れていました。
二人ともお互いが出てくるのを待っているんです。
物語は一人の兵士の視線で語られていきます。
彼は相手を、血も涙もない残虐なモンスターだと思っています。
それは「戦争のしおり」にそう書いてあるから。
敵を殺さなければ自分が殺されてしまう。敵は人間ではないから、何をしてくるかわからない。

けれどある日彼は、穴を出て、
相手の穴に奇襲をかけようとします。
相手の穴には誰もいませんでした。
そして家族の写真を見つけたのです。

彼は初めて、自分が思い込んでいたことが間違いではないかと考えます。
相手も同じ人間なのだ、家族のところへ帰りたいはずだと。

それでもやはり、穴から出られないのです。
相手がいまいるのは、もともと彼が入っていた穴のはず。
相手が出てくるのを待っていますが、なかなか出てきません。

「どうした?彼はなにを待っている?」

という彼の思い。
おそらく全く同じことを相手も思っているのでしょう。

どちらかが行動を始めなければ、解決にはたどり着けないことってありますよね。
けれど、怖くてお互いがその最初の一歩を踏み出せないんです。

これを解決する良い方法を先日テレビで見ました。
幼稚園に通うくらいの二人の女の子が決めている仲直りのルールです。
「いっせーのーでー」
と声をかけ合ってから、同時に「ごめんなさい」
と言うんです。

その子たちは仲良しだからこそ、よく喧嘩してしまうのでしょう。
二人のお母さんたちが考えたルール。
喧嘩はどちらも悪いんだから、どっちが先に謝るとかではなく、
一緒に謝りなさいという意味なのでしょうね。

『ボクの穴、彼の穴』の二人の兵士が、
「いっせーのーでー」のルールを知っていたら。
「戦争のしおり」に書かれていたのが、とにかく敵を倒すことや、敵はモンスターだということ以外に、このルールも書かれていたら…?
ふとそんなことを思ってしまいました。



コメント

「いっせーのーで」のルールは幼児教育で普及したらいいですね[赤ちゃん]わーい(嬉しい顔)
大河ドラマにもなった『翔ぶが如く』のタイトルの語源になったのは、「泣こよっか ひっ翔べ!」 これは鹿児島の諺で、悩んだり泣いたりするならば、勇気を出して行動しろという意味です[火山]。僕は迷ったりする時に、「泣こよっか ひっ翔べ!」を唱えてますパンチ

やす 2011年01月13日

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