『想い出あずかります』

結構前に買った本だったのだけれど、
ちょうどその頃、
仕事のことで読まなければならないものが山盛りだったので
母に「良かったら先にどうぞ」と言っておいた本。


『想い出あずかります』
吉野万理子さんの小説。


鯨崎という町のとある海辺、
崖を降りていくと
魔法使いが住んでいる。

魔法使いが営む「おもいで質屋」。


二十歳前の子供たちだけが行くことができる魔法使いの質屋には
想い出を預けることが出来る。
その想い出は二十歳を過ぎると取り戻すことができない。
おもいで質屋のことも、魔法使いのことも、すっかり忘れてしまう。


誰もが一度は思ったことがあるかもしれない。
嫌な想い出だけ、そっくり消せたらいいのに。
そんなことも、魔法使いのおもいで質屋では可能になってしまう。

でも物語に出てくる芽依も
いじめられた記憶を質に入れに来るけれど
最後には、そうじゃないんだなと気がつく。

忘れたいこと。
でもそれがあるから、
想い出が経験になって、
より良い未来を創るための大切な要素になっていく。
忘れてしまえば、ステップアップするための材料もいつまで経っても揃わない。


魔法使いは
想い出と、記憶の違いを

「想い出っていうのは、すごく楽しかったり、くやしかったり、ガッカリしたり、そういうふうにあなたの気持ちが動いた出来事のこと。」

記憶については、「単なる事実」

と定義している。


そう考えると
最初は「想い出」だったような気がしたものが、月日が経って「記憶」になるものもたくさんあるように思うし、
「想い出作り!」と言ってはしゃいでいた同年代の女の子たちの気持ちが全く理解できなかった自分の気持ちも、
なんとなく説明がつくような気がしてくる。


私はもう二十歳を過ぎてしまったから
魔法使いのおもいで質屋は
見えないんだろうけれど
年々、一年間が長くて長くて、今年のお正月ですらもう遠い遠い過去に感じられる私の場合は、
多少、なんか、「あずけた」方が
人並みに、一年ってあっと言う間、というセリフが出てくるようになるのかもしれないなあ。

おもいで質屋にある
リスのお茶、
カラフルなポップコーン
美味しいクッキー

それだけでも魅力満点。


ほわっとした世界に
連れて行ってくれる一冊。


コメント

まりさん、今日もいい本に出会いましたね。☆
また、人は、いろんなものに残る思い出の断片をしっかりと
持っていることによって、明日を生きていくことが出来るのだ
と思っています。。。
だから、これからも、将来の思い出の1ページとなる、いちにち
いちにちを大切にね。☆

まるみる 2014年03月01日

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