『顔―Faces―』

情熱的なバイオリンの演奏でも知られる
葉加瀬太郎さんのエッセイを読みました。

『顔―Faces―』(新潮文庫)

いまやバイオリンの演奏のみならず
画家としての一面、作曲活動など
多彩なご活躍で飛び回っていらっしゃる葉加瀬太郎さん。

彼の芸術にたいする心構えや
考え方が
とっても真っ直ぐな言葉で綴られていて
すなおに、すとんと胸の中に落ちてくる心地よさがあります。

私も大学で音楽が専攻だったので
その中と、それまでに自分が学校教育の中で受けてきた音楽と、
世の中が思う「クラシック」音楽というものに対する違和感と、
いろんなところで、
共感する部分もあったり。

それと
最近いろいろ思う
ひとりの人間が持ち合わせる多面性というものについて
勇気をもらえた本でもありました。

ひとりの人の中には
いろいろな面があって
それがパタパタと入れ換わるように
それぞれのシーンで変わっていく。
それって、見せる面をとある面に絞り込んでおかないと
不信感につながってしまうんじゃないか、という
無駄な心配があったりして。
でも、葉加瀬さんの言葉を読んでいて
違うって、思ったんです。

もしも、パタパタと
いろいろな面が次から次へと出ては消えて、
切り替わっていくものが
本当の自分であるのならば、
恐れず、素直に、そのままでいんだってこと。

そして

「でも夢というのは思い描いたほうが勝ち。人生は一度しかないのだから、夢を持つのに遠慮する必要はない。やりたいことは、たくさんあったほうがいいに決まっている。」

そう、だから
その時思ったことに
とことん素直になって
それに対して夢中になって全力で
駆け抜けるしかないんだなあって。

「アーティストの仕事は、地道な努力の積み重ねだ。外から見れば派手な仕事のように見えるかもしれないけれど、みんなドロドロになりながらもがき苦しんでいる。」

自分との闘いがいっぱいあって
決めるのは自分だし、
誰にも決められない部分が一番難しくて苦しかったりする。

けれど

「どんな仕事でも、前進する原動力を与えてくれるのは「人」でしかないのだと感じる。」

いま、生きている人、
もうこの世にはいない人、
いずれにしても
自分のことを100パーセント信じて
背中を押して、素直に応援してくれる「人」ほど
力になるものは、ないんです。
その力があるから、悩んだって、頑張れる。

今しかない明日に向かって

そして
この本の最後は次のような言葉で
力強いパワーが込められていました。

「自分を感動させることができないような人間には、人を感動させる芸術など作れるはずがない。」


がんばろう、私。
せめて、やってきたことくらいに対しては
自分を信じてあげて。
そしてこれから先の未来が
まだ何も決めつけられてはいない
白い可能性に満ちていることを信じて。
がんばろう。


この本は
音楽好き、絵画好きじゃなくても
葉加瀬さんファンだけじゃなくて
そんな枠も全部とっぱらって
たくさんの方にとってきっと
心に響く内容の
パワーをもらえる本だと思います。

コメント

今日もいい本に出会えましたね。☆そして、幸せな時間を過ごせましたね。

まるみる 2013年12月04日

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