「月の下まで」は高知県の黒潮町を舞台にした作品ですが、監督の高知に対する熱い想いや、地域の方々の地元への深い愛情がたくさん感じられました。
どこか懐かしい日本の古き良き風景を見ているようで、潮の香りが満ち、波の音が聞こえ、熱い男気の溢れる漁師たちがいる。
この町の良さは唯一無二です。
那波さんの演じる勝雄は、カツオ漁をしながら生計を立て、不器用な孤高の男で、障害を持つ息子をかかえながら、ひとり孤独を感じていて‥
そんな姿を見ているとそっと背中を支えたくなるくらい胸が苦しくなりました。
勝雄の心の葛藤が痛いほど伝わり、生きていて直面する選択に、揺るぎないものを持ちつづける勝雄の人間性と、息子への愛が満ちた作品でした。
那波さんの声って、すごく胸に響くんです。
この作品を観て、父親だからこそ感じる親心が、ほんの少しわかったような気がしました。母性をテーマにする作品はよくありますが、父性を感じたのは初めてのことです。
この作品は、心の揺れが波のように押し寄せて、私たちを海原に連れ去っていきます。
そのくらい、繊細な描写に人々が生きていて、リアリティーに溢れた人間ドラマでした。
多くの人に愛されている理由が、よくわかります。
いい作品がこうして世に出て、私たちは観ることができて
すごく幸せです。
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