入江早耶個展「見出されたかたち」

銀座にはギャラリーがあちこちにいっぱい。
時々、今はどんな展示をやっているのかな～なんて
ネット検索したりして
気になるギャラリーに少しずつ行ってみています。

今回は
東京画廊＋BTAP
というギャラリーへ。

以前行った資生堂ギャラリーからも
大通り挟んで少し行ったところ。割と近いです。

展覧会内容が楽しみでドキドキするのはもちろんですが、

初めて行くギャラリーだと
様子がどんな感じかな～と
違ったドキドキもありますね。

東京画廊＋BTAPさんは
とっても居心地の良い空間でした。

ビルの７階にあるんです。







最初、ビルの前まで着いた時には、
普通に、オフィスが入っていそうなビルで
用事の無い方がふらり入れるような雰囲気が全くなくて
本当にここでいいのだろうか…とも思いましたが







７階まで上がってしまえば
そこは素敵なギャラリー。



静かで
白い壁が心地よく
独特の曲がった展示空間もまた素敵。


別の展示になっても、また観に来たいなと思うようなギャラリーでした。


そして肝心の展示内容。

今回は
入江早耶個展「見出されたかたち」
でした。

すごく面白くて
１０点の作品展示でしたが
１つ１つ時間をかけてゆっくりと観ていたくなるようなものばかり。

入江さんは二次元のイメージを消しゴムで消して、
そこから出てきた消しゴムのかすを使って、立体アートを作り上げるというアーティストさんなんです。
私は今回の個展で初めて知りましたが
実は去年の資生堂ギャラリーで開催された資生堂アートエッグ展でも
Shiseido art egg賞・最優秀賞を受賞されているアーティストさんでした。

今回の個展では
消した写真やポストカードを並べて
その前や周辺に、
写真やポストカードを消しゴムで消した時に出てきたかすで作った
立体作品が飾られています。

消しゴムで消した部分に
女性が描かれていたとすれば
その女性を立体で再現しているんです。

再現、といっても
厳密なコピーを立体にしているわけではない、
というあたりも面白いところ。

個展の紹介にある作品「バレエダスト」は
バレリーナの格好をした女の子の写真を
消しゴムで消して、
そこから女の子を立体的に作った作品ですが、
よく見ると、写真の女の子は扇を手に持っていますが、立体の方の子は持っていませんし、
ポーズも微妙に違います。

それはまるで
本当に、写真の中からぽっかりとバレリーナの女の子が抜け出して来て
自分が抜けた跡、白くなった部分を、見つめているかのようです。

最初は立体になった方の作品にばかり目が行きましたが、

他の作品も
そうやって観て行くと
消しゴムで消した跡の白っぽく抜けたような部分も
面白いんです。
映画で、肖像画の絵の人物が動いたりして、
絵から抜け出ちゃうと、その部分が人型に空白になっていたりするの、
イメージにありません？
そんな感じ。
人物を切り抜くように、抜きとったら、こうなっちゃった、というか。
厳密に真っ白になっているわけでもないので、切り抜きっていう表現とも少し違う気もしますが。

「ネバーモアダスト」は新聞の写真印刷部分を消しゴムで消して、立体に作り上げた作品ですが、
横たわる女性の絵を写真で消して
立体表現された女性は、新聞の端の方に置かれています。
こうやってみると、立体になって新聞の写真から抜け出てきた女性が
ごろ寝しながら自分が載っていた新聞を見ている、というイメージになって面白い。

立体をどの位置に配置しているかというのも
この作品展を見ていて、楽しい部分でもありました。

二次的な表現の写真やポストカードなどでは
人物が写っていても
その人物の裏面、横面などは見えないですね。
想像するしかない。
けれど立体になると３６０度ぐるりと見える作品になるわけですから
写真をもとに、背中の方まで作り上げなければならない。

作品を１番から観て行って
３週目に、そっか～と思い、
立体の裏に注目してじっくり観察していました。


今回の作品はどれも素敵なものばかりでしたが
私のナンバーワンのお気に入り作品は
やっぱり個展の紹介写真になっていた
「バレエダスト」かなあ。

絵の中から
消しカスの力で自由を与えられたバレリーナの女の子。
自由の三次元世界で、元いた自分の二次元世界を見つめる様子が
たまならく、はまりました。

入江早耶個展「見出されたかたち」は
今月２８日までのようです。
http://www.tokyo-gallery.com/