『楽園のカンヴァス』

原田マハさんの小説
『楽園のカンヴァス』(新潮社)
を読みました。
前からずーっと読みたいと思っていたんです。
やっと読むことが出来ました。
ちなみに新しい原田マハさんの本で『ジヴェル二ーの食卓』もすごく気になっています。

さて
『楽園のカンヴァス』ですが
美術館、研究者、ルソー
をキーワードに進む物語。

実は歴史が苦手だった私は
なんとか、歴史の勉強を、1行読んではうとうとするという所から脱却したくて
美術史の勉強を少しだけ趣味でやっていたんですね。
美術館に行くのも絵画を鑑賞するのも好きだ
現在、美術検定2級まで勉強してきてたんですが、
そのおかげで、この美術と美術館、絵画に関連した小説は
すっごく楽しめました。

いろいろな絵のタイトルが出てきたり
ピカソも登場するし、
もちろんルソーも話題の中心。
勉強した時に出てきた絵のタイトルがあると、あーあれだ!って思ったりしながら。

ルソーの絵画『夢』

そして

もう1つの作品があったのかもしれない、という疑惑。

本物は、どれなのか。

もしくは、今まで本物だと思われていた物は
実は偽物なのか。

そして

その絵に隠された秘密…。

きゃ~

推理っぽい側面もありますので
これ以上書くと、読んでいない方のワクワク感が
薄れちゃいそうなので、
このあたりで…。

絵画の世界でもそうなのかもしれませんが、
私が音楽の勉強を大学でしていた時に思っていたのは
本人が書き遺したものが、現代にまで残っているのは、強い、ということ。

たとえば、
手紙とか日記とか、
作曲者本人の気持ちが書かれている資料があると
それ以上の証拠はないわけで
○○の影響を受けました、インスピレーションを○○から受けて出来あがったものです、なんて作曲者本人が書いていれば、
そうですよね~となるわけです。

まあ、そういう資料がないところでも
いろいろ周辺から固めて行って
緻密に重ねて重ねて、調べに調べて、
最後、考察に持って行くっていうのも
面白さの1つではありますが。

その最後に出てくるものは
結論、たった1行で言えてしまうものですけれど、というものだったりすることも
多いのです。

けれど
何千枚という紙の資料をひっくりかえし、あちこち見に行ったり、
とにかく膨大な資料の山という山を越えた上での
たった1行の結論なわけです。

揺るがない柱が立てられる。


一見無駄とも思える作業が
全く無駄じゃないんだよ
っていうことを
大学の研究で勉強させてもらったよな、なんてことも思い出しました。


この『楽園のカンヴァス』に出てくるオリエは
昔は学会をうならせたルソー研究者で
現在は引退し、美術館の監視員という役職。

でもやっぱり研究していた時の情熱とか
自分が愛を持って調べていた対象への気持ちっていうのは
消えないんです。

ルソーを愛する気持ち。
その作品を大切に思う心。

いろいろな登場人物
それぞれの中にあるルソーとその作品への想いが
ぶつかりあう様に惹きこまれました。

本当に、いい小説だった。

美術館、また時間を作って
静かな日を狙って、行こう。



コメント

まりりんさん、今日もいい小説に出会う事が出来て、
よかったですね。チューリップ

そして、私は、先般、ご紹介した本を、こつこつと
読んでいます。。。芽
また、今、話題の、『海賊とよばれた男』も、とうとう
手に入れました。(笑)

まるみる 2013年06月24日

ひきこまれそうな小説ですね

2013年06月24日

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