『日本全国津々うりゃうりゃ』

宮田珠己さんのエッセイ
『日本全国津々うりゃうりゃ』(廣済堂出版)

を読みました。

宮田さんのエッセイは
いつも本当に面白くて
旅エッセイってこんなに笑わせてくれるものなんだ
と思った作家さんの一人。
それ以前は旅エッセイって
他の人の旅の記録日記みたいなものを読んで面白いのかなあ…とやや苦手意識もあり、そんなに面白いと思ったことがなくて。

海の生き物が大好きな宮田さん。

あの日光東照宮にさえ
クラゲを発見し、
砂漠について取材しに行ったはずの神津島でもやっぱりシュノ―ケリングにすっかりはまり、
東京について書こうと思っていい案がないかと考えあぐねいた間にパチン コ屋に行って
そこでもまた海の生き物が出てくる、あれ、について熱く盛り上がっているのでした。

爆笑ページばかりではなく

そうそう、そうだよね~というほっこりパーツもあり、

たとえば

「人は旅の途中、観光地めぐりの合間に、なんとなく訪れたい場所というものがある。」
中略
「人によってそれは、駅前広場に面した全国チェーンのカフェであるかもしれない。」
中略
「人はそこでのんびりした時間を過ごし、旅行から帰ったら、おおむねその部分は忘れてしまうのだが、そうやって旅の途中でスローダウンすることで、それまでに訪れた場所、見たもの、した経験を思い返し、それを整理し、編集し、検証し、記憶に定着させる。そうしなければ、次々とやってくる刺激のなかで旅の細部が抹消され、小さな発見や感動が、ときには体験の記憶そのものまでも零れ落ちてしまうからだ。」


これは、うんうん、と納得なのでした。
私も出張などで遠出した時、
どこかのチェーンのカフェに入ったりして
その日のことを整理したりもしますし、
新しい街について想いを巡らせたりもします。

どこに行っても
ちょっとだけ、自分の心の中を整理整頓する時間を作るようにすると
新しいスペースが生れて
またキラキラした出会いがたくさん胸の中に入って来るような感じがするんです。

宮田さんにとってのそんな場所は
「高いところをゆっくり走る乗り物の車内」みたいですが。


ガイドブックにこだわり過ぎてもいけない、というのも
少し納得がいく部分もあり。

「最終的にその街を少しでも知りたいと思うならば、旅の編集作業を決して手放してはいけない。」

自分の目のフィルターを通して感じたことに
素直に向き合うようにっていうことなんですよね。
もちろん、ガイドブックは初めて行く場所について調べるのにとても役に立ちますし、
私もよく利用します。
けれども、それにばかり、しがみ付き過ぎてしまうと
本当に自分の興味があることに、目が行かなくなってしまったりするんですよね。

「旅の編集作業を決して手放しては行けない。」

かっこいい。
そして、ずばり。


ということで最後に

秋田県、雪国出身の私の
超ツボだったのは、「秋山郷、十日町」の章。

雪が降ると
雪国では除雪車が活躍し
道の両脇に
どんどん雪をよせていくんですね。
そうすると自動的に、どうしても、雪の壁が出来あがる。

これを初めてみた宮田さんは

「壁の側面が削られて、てっぺんに、脂肪の塊のような感じに雪がむんわりと載っている。削られた側面に泥がついてたりすると、茶色くなってますます角煮くさい。雪の壁→角煮、と覚える。」

と表現され
すばらしいイラストまで描かれています。


わかる。
わかる、わかる、わかる!
あれはまさに、角煮の断面図の巨大化版です。

もう雪国出身の私ですら
今後、雪の時期に帰省したら
雪の壁をみて、角煮としか思えなくなることでしょう。

ケラケラ

毎度楽しい気持ちになる宮田さんのエッセイ。
にひっ。


コメント

ブログの題名を見て、まりりんさんも風邪気味???と
思ったら、本の題だったんだね。ふぅぅぅ、一安心。(笑)
そして、今日も、ツボにはまる、面白い本に出会って、
よかったね。チューリップ

ちなみに、私は体調も復活し、今は、酒見賢一さんの
『周公旦』、曽野綾子さんの『人生の原則』、松浦弥太
郎さんの『今日もていねいに』を読んでいます。☆

まるみる 2013年06月22日

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