『十二単を着た悪魔』

前々から気になっていたのに読めていなかった本
(そういうの、いっぱいあるんだな)
をようやく読みました。

『十二単を着た悪魔』(幻冬舎)

内館牧子さんの小説です。



就職活動を頑張るも就職試験を受けた59社全てから不採用となり
フリーターになった伊藤雷。

弟は学校の成績も良ければスポーツも万能でモテモテ男子。

比べられること、そして周囲が気を遣って比べないようにしてくれていることに
息苦しさを感じながら生きてきた兄の雷。
フリーターとして日雇い派遣の肉体労働をする日々を送っていたある日、
「源氏物語」に関連した展示の設営をする仕事を担当する。
その帰り道、突然、「源氏物語」の中に入り込んでしまうという物語。

派遣先でもらった「源氏物語」のあらすじパンフレットを持っていた雷は
物語の中に入り込んでいるので、未来の筋書きまで知っていることになり、
それを利用して、職業を高麗から来た陰陽師ということにして生活をし始める。

「源氏物語」と言えば
目立つのはなんといっても、光源氏の君。
光源氏の兄は将来、帝になる人物なわけだが
弟の光源氏はなにをやっても出来がよく、モテモテだし、歌も踊りも抜群。
兄は、何をやっても努力家なのに平凡で目立たない。

そんな兄に、雷は自分を重ね、
光源氏に自分の弟を重ねて想いを巡らせている。

「源氏物語」の世界の中で生きて行くうちに
物語では描かれていなかったような
キャラクターの個性が見えてきて、面白いですね。

現代日本といろいろと比べている雷は
日本の四季の移り変わり、空の色、夜の暗さ、
現代に住んでいた時には気がつかなかったことに
たくさん気が付いて行きます。

弘徽殿女御から見た「源氏物語」の世界を中心に
陰陽師になった伊藤雷あらため伊藤雷鳴が
体験したことで話を進めて行きますが、

内館さんは
高校生の時から
弘徽殿女御が誰よりも大好きな登場人物だったとか。

そしてかの有名な、私も大好きな映画『プラダを着た悪魔』を観た時に
弘徽殿女御は十二単を着た悪魔なんだと思ったことから
今回のタイトルに繋がっているようです。

バリバリのキャリアウーマンで
単にニコニコして可愛いだけの、つまらないばかりの女になりたくなかった弘徽殿女御。
この本の中ではまさに、敏腕編集長並みに、
そういう目線で、かっこよく描かれています。

こうやって小説を通して
昔、授業で出てきたキャラクターを
違う目線で捉えて、個性豊かに生き生きと活字になっていく感じ。
なんか、いいなあ。

見方が変われば
丸がバツになり、バツが丸になる。

赤が青になり、黒も白になったりする。

どんなことも
今持っている意見というのは
今立っている場所からの、ある特定の角度からの目線に過ぎないんだよね
ということも
改めて思ってみたりもしていました。


面白くて
移動中に
一気に読み切った本。

次に読みたい本も
もうスタンバイされてるんだ~

るんるん♪

コメント

このテーマを、読まずに先程光と闇のところに似た様なコメントを入れてしまいましたm(_ _)m

Crayon 2013年06月10日

あはよ~晴れ猫わーい(嬉しい顔)


あたしゃも読みたい本がたっくさんありるけど~あせあせ(飛び散る汗)


時間&予算&スペースのからみで限られるんだにゃ晴れ猫あせあせ(飛び散る汗)


活字に対する読者欲が湧きまくりれば~


一気に読むんだにゃ晴れ猫わーい(嬉しい顔)

ひろゆき♪ 2013年06月05日

初めてコメントさせて戴きます。

読書量に関しては、人後に落ちないと自負する僕も、
その本は知りませんでした。

面白そうですね!!今日、明日にでも、書店に求めに行きますね!!
麻里さん。情報、有り難うございました!!

源氏物語は好きで、学生の頃から、繰り返し読んでます。
だから、なおさら読みたい本です!!

目線。きっと大事ですよね。
諍いを避けられたり、他人の気持ちが解ったり、
あるいは新たな発見があったり・・・うーん、深い(笑)

ぽえむ 2013年06月05日

今回も面白い本に出会う事が出来たようですね。チューリップ

私は、ちなみに、今は、山本兼一さんの『利休の風景』を
読んでいます。芽
また、まりりんさんと一緒で、部屋には、読みたい本が
目白押しです。(笑)

まるみる 2013年06月05日

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