『オーデュボンの祈り』

久々に読みたかった本たちに手をのばすことが出来ました。
今年に入ってからは試験やら引っ越しやらで
荷物を整理したりしながら
バタバタしていて
本は結構早い段階で整理整頓するもののジャンルに入ってしまい…
(仕事ですぐ使う物、すぐには使わない物、という分類で整理をしていったらそうなってしまったのでした)

詠みたかった本をカバンにいれて出掛けられるのは
嬉しいものです。

読み終えたのは

『オーデュボンの祈り』(新潮社)
伊坂幸太郎さんの小説を文庫本で読みました。

読み終えてから知ったのですが
なんとこの作品が伊坂幸太郎さんのデビュー作だったとか。

当時はかなりの鮮烈なデビューだったことだろうと
妄想してしまいました。

これまでにもいろいろな伊坂幸太郎さんの作品を読んできましたが
毎回、良い感じに脳みその奥の方から
ちくちくと刺激がくるような展開が大好きです。

今回は
どこからも知られていない不思議な島「萩島」が舞台。
場所は仙台から船で比較的簡単に行ける場所。

江戸時代以来ずっと他との関わりを絶っている萩島に

ある日、伊藤という男が
意識を失っている間に連れて来られるところから話がはじまります。

萩島には
萩島独自のルールがあり、
外の世界と似ているようで、大きく異なる世界が展開しています。

外の世界とは全く違う秩序で保たれているもう一つの世界。

そこには
未来がわかって喋る「カカシ」の「優午」がいたり、
悪いことをした人の射殺を許されている男、「桜」がいたり。

先が分かるはずのカカシの優午が
ある日突然バラバラにされてしまい
急展開。

なぜなのか。

未来が見えるはずのカカシだったのに、
自分の死を防げなかったのか。

生きていたころの優午の言葉を思い出しながら
未来と言う、やってくることは分かっているようだけれど
とても不確定な要素ばかりの存在について
もやもやと考えさせられました。

優午は
彼が死ぬ前に
島のみんなそれぞれに1つずつ
役割を与えていました。
それらの役割が最後に全て繋がった時、
謎だった部分に、答えが出るんです。

まるで全ての事は、未来から決まっていたかのように。

少しでも何かがズレれば
未来はあっという間に違う流れに入ってしまう。

同じことをしていても
タイミングが違えば
未来は正反対の方向に向かうかもしれない。

偶然のようで必然で、必然のようで偶然なこと。

特定の集団の中にある、ある範囲内の常識の中で、
人々は仮定したり、推理したり、考えたり、
ありえること、ありえないことを思ったりするけれど、

もしも、その常識そのものが
違うのだとしたら…

今、正しいと思っていることも
根本からひっくりかえる、なんてことも
案外、簡単に起こることなのかもしれません。

ひっくりかえるはずがないと思っているのは
今の見えない常識に捕らわれている自分の心が
勝手にそう思い込んでいるだけのことなのかもしれないんです。

ひょいっと
簡単に
カードの裏が表になり、表が裏になる。

そもそも、色すらも全く違うものになるかもしれないし
柄模様まで違うものが付いて、凹凸まで出てくるかもしれない。

小説のジャンルはミステリーにはなるのだろうけれど、
この作品を読み終えたら、
ミステリーを読み終えた時の問題が解決したすっきり感、というよりも
何か別の、ちょっと考えさせられる作品を読んだ後のような気持ちになりました。

コメント

今日も素敵な本に出会えたんだね。湯のみ

人に出会うことと一緒で、本に出会うのも、また偶然、
だよね。。。クローバー

そして、これからも、素敵な出会いが、いっぱいあると
いいね。☆

まるみる 2013年05月10日

とても面白そうですね。^ ^

是非読んでみたいと思います。

そこには社会の縮図や人生観などが描かれている様に思われます。

Crayon 2013年05月09日

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