Fw:黒綿棒


耳がかゆい。

もう昼だというのにまだ寝間着のまま、とぼとぼ洗面台へ。鏡の前に立ち戸棚を開け、綿棒を取り出す。

両手の親指と人差し指の間に一本ずつしゃきーん、軽くつまむ。まずは右からぐりぐり。お次にもう片方の肘を耳方向へおり上げまたぐりぐり

「ふぃ〜たまらん」
…猫になった気分だ。。

そういえば綿棒の黒が登場した時は衝撃的だった。

ドラッグストアかコンビニの下の棚あたりにどさっと並べられた黒群が初めて視界に飛び込んできた瞬間、何かとんでもないグロいものを見てしまったような気色悪さがあった。

その後、付き合ってた時代の夫の洗面台に当たり前のように置いてあったのを目にした時は、忍び寄る恐怖と自分の日常に新しものをとうとう受け入れなくてはならない覚悟のようなものを感じたのを今でも覚えている。

おぉ黒麺棒よ、ついにここまできたか。

麺棒=白だったのだ。革命だ。この世界水準とそれまでの常識を日本人が覆したのだ。

黒になったおかげで自分の耳垢がどれだけとれたか目で確認できるようになった。妙に嬉しい。快感なのである。

気がつけば耳かきがうちにはない。

子供の頃は、細い竹でできた片方に白ふわふわがついたお馴染みのそれで母がとってくれたっけ。母の膝に横になり痛いしくすぐったいしで「動いちゃダメ」とか言われながら、きゃーきゃー騒いでいたのを思い出す。

この黒綿棒。外人にプレゼントすると(マスクも一緒に)、Ohあめいじんぐぅぅ〜と盛り上がる。

一瞬、度胆を抜かれたようなあの表情を見るのがこっちのお楽しみの一つでもある。

白が黒に変わる。その過程にグラデーションは存在しない。
確かに世の中が変わる時って徐々にではなくガラッと変わるものなのかも。
衝撃もほんのつかの間、そして人は意外なほど早く順応し慣れていく。

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