『天地明察』

文庫本として出版された時は
上下の2巻に分かれていましたが

とにかく面白くてあっという間に読み終えてしまった本。

『天地明察』(角川書店)
冲方丁さんの小説です。
秋には映画の公開も控えていますね。
今本屋さんに行くと、目立つところに並んでいることが多い1冊です。

舞台となったのは
江戸時代初期。

安井算哲という名を持ちながら
自らは渋川春海と名乗った一人の青年が主人公。

お城勤めで碁を打つことを仕事としながら
算術に興味があり、
次第に熱中していきます。

彼が仕事として受け追うことになったのは
今の世に合った、ずれのない暦を選び、作ること。

最後に
これまで経験してきた様々なことが
ひとつにつながり、
算術の答えが合っていた時の「明察」のように
あざやかに答えの道に光が当たって行くような感じが
読んでいて、すごく心地よい物語でした。

物語の中で
暦の存在について

「“昨日が今日へ、今日が明日へ、ずっと続いていゆく”という、人間にとってなくてはならない確信の賜物」

と表現しています。


たしかに、日本人だからなのか
毎年カレンダー売り場や
新しい年度の手帳売り場は
大きくもうけられ、たくさんのお客さんで混雑しますね。

これだけ電子のものが発達し、
スケジュール管理も電子で簡単にできるようになっても
やはり紙のカレンダーや手帳を愛する人はたくさんいるし、
我が家でも紙のカレンダーを飾るし、手帳も使うんだなあ。

さらに面白いシーンは
春海が『天文分野之図』という書物を出版した時のこと。

今でいうところの
星座図のようなものが描かれていたらしいのですが、

そればかりか、巻物の装丁を生業とする経師たちが、春海の『天文分野之図』を、一つの美とみなし、何の関係もない本の表紙に流用したのである。それにより、さらに天文暦術や数理とは無縁の人々の間にも“天文図”が一挙に流行したのだった。」

文庫本の表紙デザインも
うっすらと天文図らしきものが描かれています。

今でも似たようなことがあるなあと思い出したんです。

どこかの古地図をプリントしたものが
ブックカバーになっていたり、

全く似たような感じで星座とたくさんの星などがプリントされた
布や、何かのデザインがあったり。

それは一つのデザインとして使われているわけですよね。

そんな私も
携帯の待ち受けが
夏の星空の星座になった時期がありました。

特にそれで星の図を観ようとか
地図を調べてとかじゃないんですけれど
なんかカッコいいなって思っちゃう。
海図を使ったものも、見たことがあります。
面白いものですね。

暦は今では
世界中で正確に時を刻み
ズレもその都度細かく修正されていますが
昔はそのズレを修正するのも非常に困難だったのだろうなあ
なんていうことも想像しながら。

そういえば、
もうすぐ
7月1日には
1秒のズレが修正されるようですね。
「うるう秒」としていつもよりも1秒長い1日になるのだとか。


そんな最近の出来ごとの偶然もあり
今年は日蝕や月蝕もあり、
物語にもそのあたりも重要な役割を持って登場していたりもするという
そんな偶然もあったりして、

2012年にぴったりな1冊でした。

コメント

暦の話と言えば、加藤廣さんの有名な戦国時代
三部作(信長の棺、など)も、暦に関係する内容でした。。。

機会があれば、ぜひ。。。

まるみる 2012年06月26日

今晩は。私達も今の暦と旧暦を使っていますね。良く『暦の上では』、と言ってますが、御先祖様,先人達の知恵かなと思います。カレンダーはやはり紙が一番です。日付を確認したり、スケジュールを書き込んだり用途が有ります。便利です。それではお元気で。

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