『人間はどこから来たのか、どこへ行くのか』(角川書店)
高間大介さんが書かれたノンフィクションで
高間さんはNHK取材班の方です。
最近ちょうど、人間をテーマにした番組も放送されていましたが、
この本は、2008年から2009年までに放送された
「サイエンスZERO『シリーズ ヒトの謎に迫る』」
という番組を元にして書かれたもの。
番組放送は全12回で一年間に渡るものでしたが、
本は10章で、
人間とは何か?と考える時の様々な切り口ごとにまとめられていて、読みやすいです。
タイトルだけを見ると
ちょっと難しそう?とも思いますが、
丁寧に、分かりやすい言葉で書かれていて、
とにかく面白い!
そういう見方もあるのか~とか。
読めば読むほど、
人間ってどういう道を辿ってきたのか、
不思議で仕方がなくて、またそれがワクワクするような感じもして。
DNAや過去の遺物の分析はもちろん、
心理学やロボット、アンドロイドの話まで
いろいろな視点から人間に迫って行くんです。
それぞれの分野のスペシャリストが
人間の定義
を語るのも面白いですね。
古人骨DNA解析などをしている篠田さんは
「ヒトとは過去と未来を考える動物である」
と言い、
実験心理学を専門として表情の研究などをしている金沢さんは
「深読みする霊長類である」
と定義しています。
社会心理学者である山岸さんは
「協力しあうサルである」と言い、
認識、意思決定などに関する脳内メカニズムを研究する田中さんは
「ヒトとは自分を訓練する存在である」
と。
どれも、納得させられるのですが、
微妙に相反する部分があるような気がしたり、
絶妙にすれ違っている部分もあるような気がしたり。
難しい。
でも面白い。
表情の話の中で
丸い円の中に
3つの小さな四角があり、
上の2つの□が横並びに、
その中央下部分に1つの□を置くと
顔のように見える
という話があったのですが、
ここでは赤ちゃんでも無意識に顔を探しているという話。
そこから
顔と顔を合わせて表情を見ながらコミュニケーションしようとしているという話に進みます。
そこで思ったのは
メールなどの絵文字について。
以前、モデルの友達が
「絵文字をたくさん使わないと怒ってるの?って思われないか不安になる」
と言っていたことを思い出しました。
なるほど。
顔を見てコミュニケーションがとれないメールだから
その代用としてもしかしたら絵文字や顔文字が登場している
という考え方もできるのかもしれませんね。
あくまでもある一側面からの考察ですけれど。
人間とは何か、というのは本当に難しいテーマであり、
これから先、いろいろな分野の研究者が
それぞれの角度から
アプローチし続けて行くことなんだろうなという気がしました。
パスカルのあの名言を思い出しますね。
ずっと以前からこうした問題については、広範な分野で様々な考察が加えられて来たと思いますが、物事の本質を見失ってしまうと、議論が本末転倒、枝葉末節になってしまう危険を孕んでいます。
なーんて小難しいことはともかく、興味深いテーマですね。
ところで、星新一さんの「進化したサルたち」と言う本はお読みになったことはございますか?
未読でしたら、お勧めします。
( ̄▽ ̄)