『タマネギ色のなみだ』

夜寝る前に読んでいた本

『タマネギ色のなみだ』(講談社)

立原えりかさんの短編集です。

大人も楽しめる童話の世界の短編が
ぎっしり詰まっています。

もちろん童話なので、
小学校高学年くらいの子からも
楽しめそうな内容です。

小学校の時
高校の時
成人してから
社会に出てから

読むタイミングによって
感じる受け止め方が違いそうだな
って思いました。

遠い日のどこかに覚えがある
悩みとか、迷いとか
そういうものが、それぞれの短編の主人公の中にあったり、

童話の世界で
人間ではない登場人物もいるのだけれど
どこか等身大な話のようで
ふわっと心に残る物語なんです。

教訓、というほど
堅苦しく重く考えさせるわけではないのに、
ふっと自分に置き換えてみたり
私にもそういえばと
振り返らずにはいられなくなったり

優しい空気をまとった話です。

「過去の罪」に出てくる夫婦が
お互いに明かさない素敵な事実や

お化粧品の取り扱い説明書を
読まない人って多いんじゃないかな
というところを
まんまと狙われたなと思う「チークシャドウ」

「砂漠の風」に出てくるお母さんが
すごく人間っぽかったり、

「真珠の首飾り」のお母さんは
子供をあの後、叱ったのだろうか
それとも…

すれ違ってしまう時はほんの些細なこと、
すれ違ってしまう時は小さな積み重ね、
そんなことを思って、さみしくキュンとする
「野原をひとはこ」

ああ昔、よくやったよなあ
忘れてた、そんなこと。
みかんを買ったら
また試したくなる懐かしいさ
「年賀状」

この短編集には
人間の人間らしさが繊細に描かれているものと
動物が人間と会話しにくるものがあります。

どちらも大好き。

小さい頃から本を読むのが大好きで
手にいっぱいの本をかかえて
図書館で借りていた頃。

あの頃の私が
この『タマネギ色のなみだ』を読んだら
どう感じていたんだろうな。

童話は、大人になってから読むのも
またいいものです。


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