恩田陸さんの小説『木漏れ日に泳ぐ魚』

前回、恩田陸さんの『夢違』という作品が気になっている
と書きましたが

いつも恩田さんの小説は、
読みだすと止まらなくて
面白いんです。
ちょっと、ぞくっとする一面もあったりして。

今までに読んだ恩田陸さんの作品、
このビーアミーのページでも何冊か触れてきました。

たとえば…

2010年11月25日『まひるの月を追いかけて』(文藝春秋)
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2011年9月18日『ライオンハート』(新潮社)
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2011年10月27日『月の裏側』(幻冬舎)
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そして今回読んだのは
『木漏れ日に泳ぐ魚』(文藝春秋)

引っ越しの最後の日の、ある夜から朝までを描いた1冊。
行き分かれた男女の兄弟が再会し二人で暮らしていたアパート。
ほとんど荷物が運び出された後のがらんとした部屋で、
お酒を飲みながら会話が続いて行きます。

じわり、じわりと
お互いを探り合う二人。

会話の中に、様々な思惑が交錯して、
お互いがお互いに詰め寄っていきます。
確信をいつ突こうか、自分を守りながら
相手に攻め込むタイミングを見て、
詰め寄りながら進む会話。

この会話だけで
ある日の夜から、朝までを描き
この二人のアパートでの会話と回想だけで
1冊が完結しているんです。

すごい。

いろんな意味ですごい。

しかも引きつけられて、一気に読み終えてしまうエネルギーは
他の小説と変わらないんです。

生き分かれ、再会したヒロとアキは
山登りツアーがある旅行にでかけ
そこで二人の父親と思われる人に遭遇しますが、
事故が起こってしまいます。

そこから二人の攻防戦が始まるんです。

ちなみにこのツアーで行った場所は
A県のS山地となっており
「北東北にある、日本最大級のブナの原生林の残る山。」とあります。
これって、青森県の白神山地のことかな?
そう考えると、青池なのかなという描写
「男が最初に連れていってくれたのは、美しい、不思議な色をした湖だった。」
「コバルト色というのか、周囲の土の性質によるものなのだろう、深い青をした湖は、そこだけやけに涼しくて、ひんやりとしていた。」という部分もあります。

この本は
殺人事件の犯人を探るミステリーのようでもあり、
深く難しい愛の形を語る作品でもあります。

「愛がなければ嫉妬もない。そう言ってしまえばそれまでだが、今もなんという鋭さで不意を突いてくるのだろうか、この感情は。時を選ばぬあまりの切っ先の鋭さに、その痛みのむごたらしさに、全身が押し潰されそうになってしまう。」

難しい。
けれど難しいのが愛というものなのかもしれない、という気もしました。

朝日が昇るシーンも印象的です。
朝を「公明正大な朝が来る。」と表現しています。
「朝というのは人を正気にさせ、全てを日常に引き戻す。数時間前に重大に思えたことがちっぽけなものになり、妖しく輝いて見えたものが安っぽく色褪せて見える。」

朝には不思議な力があるんですよね。

なんともいえないクリアな感覚が
朝日とともにやってくる感じ。
朝まで起きていた時によく感じたことです。
朝日が昇ってくると、ふっと安心するような気持ちにもなります。
光が差し込んできて、ほんの数時間の違いなのに。
それに現代ならライトがあるから、暗闇からの光とは必ずしも言えないのに。
それでも太陽の光は何か違うものだと思わざるを得ないんですよね。不思議です。

あー
やっぱり面白かった、恩田陸さんの小説。

毎回、期待以上の読後感をいただいております。








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コメント

聞いてて、面白そうだなぁって思いました。
機会があったら読んでみたいですね。

まりさん、いい小説に出会ったようで、よかったですね。

また、恩田さんの別の小説もトライして、よりその世界を
深く味わうことが出来るといいですね。

まるみる 2012年01月06日

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