心・素直・動き『絵はがきにされた少年』

『絵はがきにされた少年』(集英社)
藤原章生さんのノンフィクションを読みました。

実はこの本は1カ月以上前に読み終えた本だったのですが
頭の中がぐるぐるし過ぎて
書くまでに随分時間がかかってしまいました。

今までのノンフィクション本とは何かが違う
心を奥から掴まれてどこかへグイと引っ張られるような
不思議な力を持った作品です。

それはもしかしたら
私の、今までずっともやもやしていた部分に触れる何かがあったからかもしれません。

自分の目で見て、感じる心。
けれど人間には自分自身で見られるものの範囲というのは
一生の中でみたら、とても限られている。

だから、私なりの視点で
私という、あるひとつの意見の破片として、
そういうこともあるのかあ~
と、どこか感じてもらえるような
発信者でもありたいと思うこと。

知れば、もっと楽しくなる。

私自身が、受け止めたことで
そう思ったことがたくさんあったし、
自分が感じたことは、自分にしか述べられないと思ったし、

世界とキャッチボールをしたら
なにかもっと、面白いこと、豊かな色が
広がるのかもしれないとも感じていたんです。


誰かに無理やり賛同して欲しい、とかではなく、
媚びへつらう、とかでもなく、

惑わされることなく、
自分の目で見たこと、体験したことを、
ただ素直に、心で感じて、しっかり受け止めて、
それを発信できるような人になりたいと、

今まで思ってきたことの断片を
この本を読んで改めて整理できたような気がします。

多くの、様々な種類の意見や話を聞くことも
とても大切で、私も好きなことだけれど、
全てを一旦、ストレートに自分の箱の中に仕舞ってから
ぐるぐると混ぜるなり、寝かせるなりして、
それで、「今現在の私は、こう思う」という形の答えを出し続けられる人でありたいなと。

もしかしたらその答えは
1年後に変わるかもしれないし、
変わらないかもしれない。

それもまた、私自身と真っすぐ向き合った結果の
素直な答えなんだなとも思います。


他の人が体験して、見て、聞いてきたら
全く違う話が語られるかもしれないけれど、
それもまた真実である、とも思うこと。

そうやって
バックグラウンドが違う個人がそれぞれに感じることが
豊かな色彩になって
世の中に散りばめられていく。
だからこそ、面白い、と感じること。


きっと、答えを出そうとすると
難しくなってしまうから、
だから今日、今、私の心はどう思っている?
ということと、せめて真っすぐに向き合って
それを積み重ねていけたらなと、思ったんです。


新聞社のアフリカ特派員だった著者の藤原さんは
会社に求められる、日本人の読者が好みそうなキャッチーな「見出しどころ」と、
自分が直接接してきた「アフリカのリアリズム」の間で
苦悩していました。

1994年にピューリッツアー賞を受賞した
ケビン・カーターさんの「ハゲワシと少女」の作品についても触れられています。

人はどうしても
自分たちが普段暮らす場所での「普通」を、他の土地での「普通」に無理やり当てはめて考えようとしてしまいます。

でも、その「普通」に当てはまらず、「普通」の条件が多く満たされていないと感じてしまうエリアでも、
その土地の人たちにとっては何の不満もなく「普通」であり、
幸せを感じながら日常を過ごしているのかもしれません。

勝手な自分のものさしだけで、遠く離れた土地のことを測るのは、
本来無理なことだったのでしょうが、
情報がすぐに手に入る現代になったからこそ、
ますます、そのことに気が付きづらく、
逆に難しくしてしまうことも、あるのかもしれないと感じました。


枠を外してみることも大切なこと。
勇気をもって
自分の心の動きを見つめてみようということ。

課題はたくさんあるけれど

ひとつずつ、進んで行きたいと思います。



コメント

今日はなかなか深いですね。。。

人は、往々にして、自分の視野で物事を判断しがち
です。

また、それとは逆に、世の常識、慣習などについても、
常に「なぜ」と問う気持ちも大切だと思います。

要は、世間の意見に振り回されず、自分の頭で考える
ことにつきるかと思います。

まるみる 2011年11月29日

自分の物差しだけで判断するのは確かに誤りの元かも知れません。

しかしながら、他人の物差しで判断するのは無責任と言うものですし、たくさんの物差しがあれば混乱するだけです。

結局は自分の物差しを信じて判断するしかないのではないでしょうか。

その為には、日頃から自分自身が信じられる物差し作りをしておく必要があるのだろうと思います。

人間は間違う生き物です。

でもその間違いを正すこともできます。

願わくば間違いや失敗が許容される世の中であって欲しいものです。

( ̄▽ ̄)

レディオヘッド 2011年11月29日

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