今はどこでどうなっていますか?
宮部みゆきさんの
短編集
『チヨ子』を読みました。
短編集って
どちらかというと長編物よりも
読み終えるのに時間がかかることが多いんです。
1つずつの話が区切れているから、というか、
1つ1つ、読み終えたぞっていう間が出来るというか。
でもこの『チヨ子』はもうとにかく一気に読み切ってしまいました。
次の話は、どんなもの?っていうのが
繋がらない物語なのに気になってしまって。
ちょっと不思議な
ホラーファンタジーの世界。
中でも表題作の「チヨ子」は
宮部さんが朗読用に作られたものなのだとか。
実際に宮部さんご本人が朗読されて舞台に立たれたこともあるようです。
作家さんご本人による朗読だなんて、すごい貴重ですよね。
「チヨ子」は
アルバイトでウサギの着ぐるみを着ることになった女性大生が主人公。
ウサギの頭をかぶると、目の前にいる人たちが
人間ではなく、ぬいぐるみやロボットに見えてしまいます。
彼女自身を鏡でみると
そこには小さい頃に大切にしていたウサギのぬいぐるみの「チヨ子」がいました。
ウサギの頭の中から見ても人間にしか見えない親子には
背中にうごめく黒い手がついていて…。
「でも、ほとんどの人がそんな羽目にならないのは、身にまとっている着ぐるみや玩具たちに、守られているからじゃないのかな。何かを大切にした思い出。何かを大好きになった思い出。人は、それに守られて生きるのだ。それがなければ、悲しいくらい簡単に、悪いものにくっつかれてしまうのだ。」
私がもし、この不思議なウサギの頭をかぶったら
私自身は何に見えるんだろう。
もしかしたら
「チャム」?
小さいころ、毛が抜けてしまうくらい撫でて可愛がった犬のぬいぐるみです。
昔は犬より猫が好きで、
しかも物をめったに欲しがらない子だったのに
このぬいぐるみの前では、ずっと見つめていたんだそうです。
「欲しいの?」と母がきいても、最初はいらないと言っていたようなのですが、
それでも何度か見つめている私をみていて
「これ、買おう!」と言ってくれた母。
家に向かうバスの中で名前を付けて
バスケット付きで売られていたチャムを抱っこして帰ったのを今でも覚えています。
そういえば
チャムの犬種がなんだったか覚えていないのですが、
形と抱いた時の雰囲気が今のウィルにそっくりだと思い出しました。
無論、重さは比べ物にならない差ですが。
我が家のチャムは
何かの時に「お寺に供養してもらう」ということで
私の所からいなくなりました。
写真くらい、残しておけばよかったかも。
と、今になって思ったりもして。
「チヨ子」
昔々に置いてきた
温かい気持ちに触れさせてくれた作品でした。
またまた本の紹介ありがとうございます。
参考になりますね。