明日は節分です。
まだまだ寒い日ばかりで身を縮めながら歩く人が多く見られる日が続きそうですが、
こうしているうちにも、春は確実に近づいてきているんですよね。
春の楽しみの1つは桜。
今日は新しい種類の桜を知ることになりました。
『死神と桜ドライブ』(アスキー・メディアワークス)
有間カオルさんが書かれた小説です。
しばらく小説系から離れていましたが久々にドキドキする
スピード感ある小説を読んでみました。
この作品はもともと、ユナイテッド・シネマ シネマプロットコンペティション2008でグランプリを受賞したプロットを小説化したものだそうです。
物語は、
彼氏に騙されたOLの美咲が、自暴自棄な気持ちで車の前に飛び出しますが、
気が付くと命拾い。葬儀社で働くことになります。
美咲は知らず知らずのうちに、色々なものに自ら背を向け、逃げていたことに気が付いていくのですが、どん底だと思っていた美咲が立ち上がって行く姿は、読んでいるこちらにも元気を出させてくれます。
何でもやってみる前から否定するんじゃなくて、
しっかり前を見て、
やってみたら急に違ったものが見えるかもしれない。
やってみる前に決めつけていたことは、自分の中にだけあった
大きな間違い、思い込みだったかもしれない。
最後の老夫婦の葬儀のシーンでは、ぐっと胸が詰まって涙が出そうになりました。
最愛の夫を亡くしても、老婦人はとても優しく、前を向いているんです。
温かく、でもしっかりと立っていて、進んでいる。
「全く同じ道には戻れなくても、同じ方向へ向かう道は見つかるかもしれませんよ。」
美咲の背中を押した老婦人の言葉です。
違う道を歩き始めたつもりだったのに、
ひょんなことから前に目指していた道との交差点にぶつかるかもしれない。
山の頂上への道は1本とは限らないということ。
このラストシーンに出てくるのが
御衣黄桜(ぎょいこうざくら)という桜です。
黄緑色と桜色のコラボレーションが
なんとも美しく、とても不思議な桜のようです。
とっても気になって調べてみたら、実在する桜なんですね。
珍しい桜のようですが、実は都内でも10か所以上で見ることが出来ることがわかりました。
ふんわりと優しくも芯は強くしっかりしている。
そんな老婦人のような桜かなと、
小説の中から想像しています。
今年は見られるかな、素敵な御衣黄桜。
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