杉本博司「ロスト・ヒューマン」@東京都写真美術館

長らく閉まっていた東京都写真美術館

最近リニューアルオープンしまして

行ってきました。

リニューアル記念展示は


現存する世界的写真家の日本人
といえば、もちろん5本の指に入るでしょう、という


杉本博司さんの展示



千葉市美術館でも杉本博司さんの展示を見ていたので
一年の中で二回も、世界の杉本博司の個展が見られたという
なんともラッキーな展開です。


彼の作品シリーズは
《海景》《ジオラマ》《劇場》と
大変有名なシリーズがあるわけですが、
前回千葉市美術館では、この3シリーズ全てを見ることができました。

そして今回は
《劇場》のシリーズの次の段階
《廃墟劇場》のシリーズが世界初展示。

《劇場》シリーズも緻密な美しさに圧倒されたのですが
《廃墟劇場》シリーズは、その廃墟となった劇場に、何の映画を投影したのか、よりコンセプチュアルな作品になっていて、味わい方も様々。観る人によってさらに多角的になった作品な気がします。




展示は大きく分けて2ブロック構成。
杉本博司の写真作品のフロアと
様々な収集物や自身の写真も合わせての、インスタレーション展示のフロア。


今回のインスタレーションは
「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」
という言葉がキーワード。

世界がいまどんな方向に向かっている危険性があるのか、それを世界が終わった時に、それぞれの立場の人がどう思うのか、という面白い展示です。

それぞれのコーナーには
肉筆の文が展示され
漁師、宇宙飛行士、建築家、美術史学者、隕石蒐集家、バービーちゃん、などなど
様々な肩書きの人たちが

「私は自由主義者だった。今日、世界は死んだ。もしかすると昨日かもしれない。」
と立場を書き、キーワードのセリフを書いた上で、その続きを書いています。

どの職業の人を、誰に役を割り当てて肉筆で書いてもらうかは杉本博司さんが指名されたもので、

建築家役は磯崎新さんだし
宇宙飛行士役は川村元気さんだったり
コメディアン役は極楽とんぼの加藤浩次さんだったり。


南條史生さんは国土交通省都市計画担当者役だったり
笠原美智子さんは政治家役だったり。

キャンベルスープ缶がずらりと並ぶ展示のところでは
コンテンポラリー・アーティストという役でロバート・キャンベルさんだったり。

コンピューター修理会社社長役の宮島達男さんの字が、いかにもデジタル数字っぽくて、勝手なイメージ通りで面白かったり。

肉筆についての、杉本博司さんの考え、文章もすごく素敵で

「その筆者の性格、教養、嗜好、気力、文章を取り交わす相手との関係、つまりその書き手の全人格が体現される。
「字は巧い下手ではない、その人の姿なのだ。」


という言葉に
もっと手書きしよう、
なんてことも思ったのでした。



そんなこんなで

他にもあれやこれや

ここには書ききれないくらい
たくさん考えさせられたり
美しいなあって思ったり・・・

行ってよかった展示でした!
















カフェも寄りたかったけど
時間がなくてまた今度。
図書室も行きたいなあ




東京都写真美術館
http://topmuseum.jp

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