おそるおそる
国立新美術館で開催中の
ルノワール展
に行ってきました。
なぜに
おそるおそる
かと言いますと・・・
先日の若冲の展示の大行列のニュースを見ていたからです。
チケットを買って入場するのに3時間以上も外で並ぶような大行列だったとかで
そのニュースを見た瞬間に
軟弱者なわたしは
むーりーと諦めていたのでした。
だって、入るまでにそんなだったら
入館するころに疲れてて
ちゃんと展示を見られないと思ったから・・・
もちろん館内もぎゅーぎゅーだろうし。
残念無念。と。
そんなことが記憶に新しいもので
メジャーなものは
混雑するでしょ、やっぱり
と予想していたのです。
でもまあ
せっかく六本木まできて
時間もあったし
ちょっとチケット売り場まで行ってみて
大行列でダメそうだったら
大好きな国立新美術館のギフトショップでも覗いて帰ろうかなと思っていたわけなんです。
が
ラッキーなことに
チケット売り場の前に
ただいまのお時間は並ばずに入れる旨の
案内が!
おお!
なんてタイミングでしょう。
ということで
入館。
お客様は多からず少からず
すべての作品を自分のタイミングで
見やすい場所からじっくりみることが出来ました。
これまでわたしは
ルノワールの作品だけを徹底してみた事もなかったし、
印象派の画家の絵は
まあ、好きだし、ほんわかした感じで
色使いも優しく、きれいで、
なんとなーく、かわいい女子っぽいから日本でも流行りそうかなーくらいにしか思ってなかったのですが(すみませぬ・・・)
が!
今回の展示で
わたしはルノワールが大好きになりました。
とにかく
究極の癒しなんです。ルノワール。
最近、現代アートとか
いろいろと、
わりと、とんがった作品に触れる機会が多かったせいか
それら現代アートはワクワクするしドキドキするし
刺激的なんだけれど、
つねにスピード感に溢れてエネルギッシュな感じ。
続けてみていて
もしかしたら気持ちが、緊張状態をキープしたままになっていたのかも、
とルノワールをみて気が付かされたのでした。
ルノワールの作品は
展示を観て進んでいくうちに
どんどん心を優しく解きほぐしてくれる感じ。
自分の中が幸せに満ち溢れていくんです。
ルノワールがこんな
人の心に魔法をかけてくれる画家だったとは。
絵画の常識の中で
筆跡を残さず塗っていく技法が完成、良しとされていた時代に
筆跡がしっかり見える状態で描き、輪郭もぼんやりとさせ、光の影を灰色などではなく青や緑などを混ぜ描いていったルノワール。
当時の絵画の業界としては
もんのすごく、とんがった画家だったはずですし、
なにしろ全然周りに認めてもらえなくて、
展示もできないから、えーい自前でやってしまえ〜!として展示したのが第1回印象派展のスタートってくらいな人ですから。
だいぶ、我が道を貫く頑固者的なイメージもあります。
今回の展示では
誰もがアートグッズや教科書などではみたこともあるだろう、超有名作品も幾つか含まれていて
中でも
《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》や
《ピアノを弾く少女たち》を
間近でじっくり観られたことは
とても貴重なことでした。
やはり名画といわているだけのことはあり
観ていて見飽きることのない、
深みがあり、それでいて画家の光の表現を苦悩した部分も見てとれて、
素晴らしい作品でした。
《ピアノを弾く少女たち》は
ずっと世の中に認められなかったルノワールが
何年も何年も描き続けた結果、
国からの注文で描かれたもの、つまり、ついにルノワールが認められた結果としての作品だったとか。
画面いっぱいから感じられる輝きは、画家自身の、やっとここまで来た、という達成感も滲んでいるのかもしれないなと想像してしまいました。
さて
今回のお気に入り作品を
発表しまーす。
どれも本当に素敵で今回も迷いましたが
1・《ジュリー・マネ あるいは 猫を抱く子供》
少女のジュリー・マネが膝の上に猫を抱き、その猫の表情がなんとも心地よさそうな一枚です。ルノワールはこの少女の後見人もつとめたようですが、ジュリー・マネ本人がこの絵を生涯手放すことがなかったというのにも、納得。輝きと笑顔、品の良さが閉じ込められた素晴らしい絵でした。
2・《草原の坂道》
このあたりの風景画はどれも好きでした。ルノワールは「風景画なら、そのなかを散歩したくなるような絵画が好きだ」と言っていたとか。まさに、ルノワールの風景画は、こんなところに入っていきたいと憧れさせてくれるものが多く、風や緑の香り、木漏れ日の心地よさが絵の中から漂ってきそうです。ルノワールの風景画には今回特に、心底癒されました。
家にルノワールが飾ってあって、「ストレス解消法はなんですか?」とか聞かれたから「ルノワールを観るんです、おほほ」とか言ってみたいわあ(^^;;
3・《ヴェールをつけた若い女性》
女性の上半身を正面もしくはやや斜め前から大きくとらえた、いわゆる肖像画の作品が多いルノワールですが、この絵のモデルの女性はお顔がほとんど見えないほど横向き、やや後ろ寄りに向いたポーズで、さらに透けるチュール素材のようなヴェールで顔全体を覆っています。
肩からは暖かそうなチェック模様のストールをしっかり巻きつけて。それなのに決して暗くならず、どこかほんのりと温もりを感じるような絵で、そこに不思議な魅力を感じました。すべての絵が幸せに満ちたものを描こうとしたルノワールならではなのかもしれません。
ということで
あえてベスト3には
超メジャー作品はいれませんでしたが
メジャーどころは言わずもがなということで、
それにも匹敵するくらい心に残ったものを挙げてみました。
また、今回の音声ガイドも素敵でしたよ!
ナビゲーターは大空祐飛さん、
解説は緒方賢一さん
スペシャル解説はシルヴィ・パトリさん
そしてところどころ
ルノワールの時代の音楽も流れて・・・。
ラヴェル、フォーレ、ドビュッシー・・・
印象派の空気感に包まれました。
ルノワール展はまだまだ開催期間があるので
ぜひ機会があったら行ってみてください。
展示室内はかなり冷房がきつくて、
ストールを借りて包まりながら鑑賞する方が続出していたので、これからさらに暑くなるシーズンには、もしかしたらなにか冷房対策があると便利かもしれないですね。
国立新美術館
http://www.nact.jp/
若冲展私も行きたかったです...が週末の度にNHKで紹介してて心が折れました。
昔マウリッツハイス展で閉館後に人数限定の夜の部があったのですが
ああいうのやってくれないかなーと思いました。